現代、冷戦もの

 シルミド/SILMIDO   SILMIDO/実尾島   2003年韓国   135分  ★★   

監督:カン・ウソク、キャスト・スタッフ:アン・ソンギ、ソル・ギョング、ホ・ジュノ

1960年代後半。金日成暗殺計画のために集められ、最強部隊と仕立て上げられる死刑囚たち。成功すれば国の英雄。しかし死刑囚ゆえ不要となれば存在そのものが社会から抹消される運命にあった。そしてそのようにことが進んだ時、生身の人間である彼らは戦うことを決心する。

これが事実に基づいた物語だとしたら、本当に朝鮮半島って大変なことになってるなと今さらのように実感。ついこの間も砲撃で人が死んだりしてるしね。
この映画は敵との戦闘シーンはない。過酷な訓練と、同じ運命にある男達が次第に強い絆に結ばれてゆく様がごりごりに描かれる。それだけにエンディングの感動は大きい。ストーリーに絡む女性の存在はなく、ひたすら男達のドラマになっているところがまたいい。役者も韓流ドラマの甘いマスクのイケメン俳優というよりは、日本のやくざ映画に出てきそうな男気あふれる面構えが多くて。特に教官役のアン・ソンギは「ランボー」のトラウトマン大佐みたいで渋いよ。

ところで銃撃戦の描写は中々のものだが、爆破シーンはやや大仰過ぎ。特にラストシーンとはいえ手榴弾だけであれはないだろう、というところが玉にキズ。でもそこがまた韓国映画なんでしかたないか。(2011/11)
 K−19    2002年 138分  ★★

監督: キャスリン・ビグロー、出演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン(シンドラーのリスト)、ピーター・サースガード

アメリカ映画で再現する、実話に基づくソビエト原潜事故映画。
アメリカに対抗するため、欠陥潜水艦で訓練航海を強行する軍の腐敗ぶり。現場での苦悩と、結局最期に犠牲となるのは下っ端の水夫。
原潜事故の恐怖をリアルに描いており、潜水艦の描写も申し分なし。戦闘シーンはないが潜水艦ファンは見て損はないだろう。しかしストーリーは暗く最期まで救いはない。またH・ファードがロシア人を演じているのが何となく違和感で、困りもの。それにしてもこんな映画作ったアメリカの真意はどこに?(2008.12)



 JSA  JSA: JOINT SECURITY AREA   2000年韓国 110分 ★★★

監督:パク・チャヌク、出演:ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、イ・ヨンエ

南北朝鮮の共同警備区域(JSA)で起こった射殺事件を、中立国監督委員会から派遣された美人将校が調査、真実に迫ってゆく。時間も前後し、事件当事者の証言による再現映像が変化してゆく過程はサスペンスタッチで引き込まれるが、しっかり見ていないとわかりずらい面もある。しかし当事者およびヒロインの心理状態を想像しつつ、繰り返し見るに耐える映画でもある。

韓国で「シュリ」の記録を塗りかえ歴代興行収入No.1となったそうで、見応えは充分。韓流映画に食わず嫌いの人(私もその一人)もこれは見れる。両軍の銃撃戦シーンもなかなかの迫力で、残念ながら日本映画ではここまでできないだろう。板門店の描写もいいし、それ以外にこのような地域があるというのもなかなか見れない、朝鮮半島に少しでも興味のある人は見るべき作品。イ・ヨンエの軍服姿もグー!(2008/11)
 敵対水域 HOSTILE WATERS 1997年 92分 ★★

製作総指揮:コンスタンチン・ソーレン、ステファニー・デッパー、監督:ディビット・ドゥルリー、
出演:ルトガー・ハウアー、マーチン・シーン、マックス・フォン・シドー

潜水艦映画には傑作が多いというが、これもお薦め。
1986年レーガン=ゴルバチョフ会談の直前、北大西洋で米ソの原潜が接触。ソ連の原潜は火災を起こし、危険な状況になる。
ソ連側の描写が中心で、大惨事を食い止めようとする流れが「K‐19」に似ているけれども、こちらは米原潜との戦闘の可能性、両首脳会談を無事に済ませるための政治工作など、緊迫感では負けていない。
劇場公開映画でなく、TV用ということでCGなど若干チープだが、役者ががんばってるんで私は充分見れました。ソ連原潜の艦長をR・ハウアー、米原潜艦長をM・シーンが演じている。
それにしても冷戦時代の米ソというのは本当にとんでもないことしでかしてたんだなぁ、と今さらのようにあきれさせる映画でもある。 (2009/7)

←トホホ、CD化されてねぇや!
 戦火の勇気  COURAGE UNDER FIRE 1996年米  116分 ★★

監督: エドワード・ズウィック、出演:デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン

湾岸戦争での友軍の誤射による犠牲が出たアル・バスラの戦い。冒頭でそのM−1T−72の迫力の戦車戦。実際にこのような誤射はかなりあったのだが、緊迫した雰囲気がよく出ている。
しかし、その戦車長であった主人公は現場を離れ調査任務に左遷される。そこからがメインストーリー。
救助ヘリが撃墜され、クルーが戦死した一件で女性初の名誉勲章授与となった大尉役にメグ・ライアン。
その大尉の最期の行動について調査を進めていくのだが、出てくる証言に食い違いが生じ始め謎は深まってゆく…。
T−54とヘリの戦闘。A10による空爆など迫力の戦闘シーンもあり。歩兵はすでに使用されなくなったデザートパターン…いわゆるチョコチップ迷彩服だが、戦車兵は通常のグリーン系。ベトナム戦で見慣れたM60に替わってミニミが標準装備となっているなど、チェックのしどころもたくさん。まぁ、とにかくメグ・ライアンの軍服姿が魅力。(2008.12)

 対決 The Forth War 1989米 90分  ★★

監督:ジョン・フランケンハイマー、出演:ロイ・シャイダー、ユルゲン・プロフノウ、ハリー・ディーン・スタントン、ティム・リード、デイル・ダイ

東西冷戦期の西ドイツ、チェコ国境。世界は雪解けへ進もうかという時なのに、ここの米ソ守備隊指揮官は戦うことにしか生きがいを見出せない生粋の軍人。一方はベトナムの、そして他方はアフガニスタンの英雄。演ずるはアメリカ側がR・シャイダー、ソ連側が「Uボート」艦長!Y・プロフノウ…この人ドイツ人なんだけど「エアフォース1」でもロシア軍人やってた。
最初に投げあった一個の雪球からどんどんエスカレートして、ほんとに子供の喧嘩みたいなことをむきになってやる二人が妙におかしい。全編雪原でのロケもいい雰囲気。
ただ途中で出てくる女はいらん気もするが…。あとソ連軍車両が改造品みたいでいまいち。
上官役は「パリ・テキサス」のH・D・スタントン、あごの下に余計な肉がついちゃってがっかり。それからまた出ましたのD・ダイ、今回は下っ端の曹長役ですごく違和感。(2007/3)
 若き勇者たち Red Dawn 1984米  114分   

監督:ジョン・ミリアス、出演:パトリック・スウェイジ、C・トーマス・ハウエル、リー・トンプソン、チャーリー・シーン、ジェニファー・グレイ

第3次世界大戦勃発!それは以外にも核戦争ではなかった。北からソビエト軍が、南からキューバ・ニカラグワ軍がアメリカ本土に攻めてきた!…ってなんか昔のSPIのボードゲームにあったなー!
…でもそんな派手な経緯は劇中の会話で説明されるのみ。

部隊はアメリカ本土で前大戦型戦闘が続く中、占領地域内に孤立しながらもゲリラ戦を繰り広げる10代の若者たち…というとんでもない設定だが、監督は「イントルーダー」のJ・ミリアスなのでそれなりに手堅くまとめられている。戦車・装甲車・ヘリなど改造でいまいちだが、こういう設定の映画自体がありそうでなかったので、けっこう私は気に入ってます。(2007/3)
 駆逐艦ベッドフォード作戦  Bedford Incident 1965米 102分 モノクロ ★★★

監督:ジェームズ・B・ハリス、出演:リチャード・ウィドマーク、シドニー・ポワチエ、マイケル・ケイン、マーティン・バルサム、ジェームズ・マッカーサー

冷戦時代の突発事故をテーマにした傑作。
舞台は北大西洋グリーンランド沖。主人公はアメリカ駆逐艦艦長、相手は(推定)ソ連潜水艦…というわけで「眼下の敵」みたいなシチュエーションだが、こっちは終始緊張感で息が詰りそう。乗組員たちも次第に耐えられなくなり遂に…。
派手なアクションも特撮もない、60年代のモノクロ作品だというのにこの完成度は一体なんだ!最後まで女は出てこないし、どうしてこういう映画が作れないかなぁー日本は。まぁ、出てる俳優の格が違うと言ったらそれまでだが。(2007/3)



 博士の異常な愛情
 Dr.Strangelove:Or How I learned To Stop Worrying and Love The Bomb 
★★★ 
 
1964米  93分 モノクロ   

監督:スタンリー・キューブリック、出演:ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン

大統領のホットラインのやり取り、核弾頭の落書き、カウボーイハットで核爆弾にまたがり落ちてゆく機長、最後はハイル・ヒトラーを叫ぶドイツ科学者、核戦争後の世界戦略、B52の緊急脱出時の携帯品は事実に基づくものか?…などなどブラックユーモア満載の古典的名作。

軍の(撮影への)協力は当然なかったらしい。空軍基地周辺の戦闘がニュースフィルム風で新鮮。一人3役のP・セラーズも良いが、ジョージ・C・スコットのぶっ飛んだ演技も見もの。(2007/7)

 渚にて ON THE BEACH 1959年  135分  

監督・製作:スタンリー・クレイマー、脚本:ジョン・パクストン、原作:ネビル・シュート、出演:グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア

物語はすでに核戦争が終了した1964年、北半球は壊滅しているという設定で始まる。唯一生き残ったオーストラリア。そこへ逃れてきた一隻のアメリカ原潜。サンディエゴから発せられる謎のモールス信号と、北太平洋の汚染状況を調べるために原潜は出航する。ストーリーの山場はそれくらい。後は迫り来る放射能を前に死を覚悟した人々の感情を淡々と描いてゆくのみ。
核戦争で西側に属するオーストラリアが無傷というのもおかしいし、サンフランシスコやサンディエゴの様な重要都市が一切破壊されてはいないのも変。しかしそれがこの映画での核戦争後の描き方であり、嘘っぽい合成映像や作り物のミニチュアを排し、あくまでヒューマンドラマに徹したのである。そこを受け入れないと、最近のCG多用のスペクタクル映画に慣れきった人には退屈極まりないだろう。
また放射能による死の恐怖を語る場面や、自殺のための薬を用意するシーンなどが出てくるが、前大戦で日本人はこのような事を現実に体験しているのだと思うと、辛く複雑な気分にもなる。

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