紛争、傭兵もの(アメリカ軍関連)

  リミット BURIED    2010年スペイン  94分  ★★★  (現代・アメリカ)

監督:ロドリゴ・コルテス、キャスト:ライアン・レイノルズ、ロバート・パターソン、ホセ・ルイス・ガルシア・ペレス

目が覚めると木の棺おけの中。しかも叩いても蹴ってもびくともしない土の中。ライターで灯りを得て自分の置かれた状況に愕然とする。危険を承知でイラクでのトラックの運転手の職を得てやってきた主人公が、携帯電話一つで助けを求め苦悩する。カメラが棺おけの中から一切外に出ないとんでもない映画。


イラク戦争におけるアメリカ人の犠牲者は、兵士だけではない。非戦闘員として送り込まれ人質として命を落とした人もずいぶんいる。この映画の主人公は、トラックの運転手としてイラクで働く平凡なアメリカ人。映画評を見ると、パニック映画、脱出アクション映画としての低い評価が多い。
しかし戦争映画として見れば、このような一面を描いてアメリカという国家の闇をあぶりだそうという試みは評価できるのではないか。主人公を雇用した会社との契約条項をめぐるやり取りは、いくらなんでもこんなこと…と思わせる強烈なブラックジョークか。スペイン映画というところがまた興味をそそる。
ただ舞台が棺おけの中だけで退屈しないようにと、いろいろイベントを用意しすぎた嫌いがあるのは残念。もっと無音で空白の時間があっても良かった。そのほうがより恐怖感、絶望感が増したんじゃないかと思う。 (2013/11)
 ハートロッカー THE HURT LOCKER  2008年  131分 ★★★ 

監督:キャスリン・ビグロー、出演:ジェレミー・レナー, アンソニー・マッキー, ブライアン・ジェラティ, ガイ・ピアース, レイフ・ファインズ

中東各地で紛争に足を突っ込み、あちこちで泥沼にはまってるアメリカ軍。その中でさらに過酷で孤独な任務をこなし続ける、爆弾処理班の兵士たち。主人公の心が蝕まれ、いつしかそれが普通、それが心地よくなってゆく異常を描く。


戦線のない戦場。カメラワークもドキュメンタリータッチだし、音楽がほとんど入らないので不気味な空気感が伝わってくる。ゲリラと対峙した時の緊張感と疲労感も感じることができ、爆弾処理だけでなく、狙撃シーンも見どころ。部屋で一人きりで見てどっと疲れたい。見終わった感想を誰かと語り合うこともせず、ひたすら主人公と同化する。それがこの種の映画の楽しみ!

近年のアメリカ兵の装備はめまぐるしく変わるが、この映画でもかなり細かい所までチェックできるのでフィギュア・クリエーターやサバゲー・ファンにもお勧め。(2011/10)

 勇者たちの戦場  HOME OF THE BRAVE  2006年 107分   

監督:アーウィン・ウィンクラー、キャスト:サミュエル・L・ジャクソン、ジェシカ・ビール、カーティス・ジャクソン

イラクに派兵された3人の兵士たちが、帰国後に通常の生活に適応できずに苦悩する様子を描いた地味な一作。

冒頭でイラク市街地での戦闘シーンがある。コンボイで移動中待ち伏せ攻撃を受けるが、これは「ブラックホークダウン」のワンシーンのような感じ。この映画は帰国後のドラマがテーマなので、あとはフラッシュバックで細切れに出るくらいで戦争シーンはない。
3人の兵士…一人は軍医(S・L・ジャクソン)、一人は輸送部隊の女性兵士(ジェシカ・ビール)…初めはそれぞれ別々に生活が描かれるので人間関係を把握するのがちょっとめんどくさい。そのうちつながりを持ち同病相哀れむでもって助け合うんだけど、最後までこれといった答えは出ず。一人は結局イラクに戻ることを決意する…「ハートロック」のパターン。というわけで“イラクものなら何でも好き”という人以外には退屈かも。

グループ療法を行うシーンでいらついた若造が、一人年配の男性を見つけて「あんたはいつの戦いだ?ゲティスバーグか?」と聞くと「サイゴンだ」と答える。「そんな前からいるってことは、こんな療法やっても役に立たねぇってことじゃねえか!」とぶち切れるシーンが印象に残る。(2012/11)
 山猫は眠らない3決別の照準 SNIPER 3 2004年米 90分   

監督:P・J・ピース、出演:トム・ベレンジャー、バイロン・マン、ジョン・ドーマン

ベトナムが舞台…というわけで前半の市内でのアクションシーンは、なんか香港B級映画みたいな気分。任務はあっさり失敗するし、何だかなーと思ってると、農村地域へ移ってベトナム戦争での体験がプレイバックし、ベケット自身が諜報活動に巻き込まれたことを察し謎解きを始める、という後半が実は見もの。

トム・べレンジャーがだいぶ太っちゃって、動きにイマイチ切れがないのが気になって辛い。
3作続いて毎回違ったシチュエーションに挑戦する姿勢は悪くないが、私はやはり第1作目がベストと思います。
(2008/10)

 
 山猫は眠らない2 狙撃手の掟 SNIPER 2   2002年米   90分  

監督:クレイグ・R・バクスリー、出演:トム・ベレンジャー、ボキーム・ウッドバイン、エリカ・マロジャーン

はっきり言って前作の方が見ごたえあり。

退役している主人公に政府が半強制的に危険任務を依頼してくるところは「ファイアーフォックス」風。現地連絡員が若い女ってとこは「ランボー2」風。東側の戦闘車両に追われるシーンは「エネミーライン」風。最後の廃墟での敵スナイパーとの一騎打ちは「スターリングラード(主演ジュードロウ)」風。何でこんな映画作る必要があったのか理解に苦しむ。前作が良かっただけに残念。 続編3も出たが…。((2007/7)



 エネミー・ライン  BEHIND ENEMY LINES   2001年米  106分  ★★★ (紛争、傭兵もの アメリカ軍関連)

監督:ジョン・ムーア、キャスト:オーウェン・ウィルソン、ジーン・ハックマン、ガブリエル・マクト

停戦合意後も小競り合いの続くボスニア。米軍の偵察機F/A-18はセルビア軍のミサイルに撃墜される。救出に出動したい米軍だが、NATO軍の指揮下で身動きできず。パイロットは一人絶望的な状況で脱出をはかる。

米軍は空母カールビンソンとF/A-18、セルビア側はT-72やBMP-1などがじっくり楽しめる。冒頭のF/A-18と地対空ミサイルの追いかけっこをはじめ見どころてんこ盛り。冷戦終結後は悪役としてはセルビア軍は実にはまり役?装備はソ連製だし、セルビア語の響きも不気味。女子供も容赦なく殺しちゃうというひどい描かれよう。
偵察衛星による赤外線映像や、地雷原の派手なアクションも見ものだが、部隊を離れて一人追い続ける狙撃兵だけはまるで「山猫は眠らない」みたいで減点。NATOフランス軍も出てくるけど助けずに帰っちゃう。結局指揮官解任覚悟で救出命令を下すジーン・ハックマンのかっこよさ。かつてのジョン・ウェインみたい。最後は国際法上どうなのかわからないけどアメリカ軍強い!無敵!正義は勝つ!ってパターンでめでたし、めでたし…?

続編「エネミー・ライン2 -北朝鮮への潜入-」はお薦めできません。内容どうこうよりもとにかく映像が見にくくて、目が疲れて、もういらいらするばかりで…。さらに「エネミー・ライン3 激戦コロンビア」もあるらしい。まだ見てません。
それから「セイビング・フロム・エネミーライン」「ビハインド・エネミー・ライン」「ホステージ・オブ・エネミーライン」といくつも出てるけど、本シリーズとは関係ないので要注意。   (2011/5)



 ブラックホーク・ダウン BLACK HAWK DOWN 2001年米 145分  ★★★★♪ 

監督:リドリー・スコット、製作総指揮:ブランコ・ラスティグ、チャド・オマン、マイク・ステンソン、サイモン・ウェスト、原作:マーク・ボウデン、音楽 リサ・ジェラード、ハンス・ジマー、脚本:ケン・ノーラン、スティーヴン・ザイリアン
出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、サム・シェパード、エリック・バナ、ジェイソン・アイザックス、ジョニー・ストロング、ウィリアム・フィクトナー、ロン・エルダード

1993年ソマリア内戦でのアメリカ軍の無謀な作戦を実話に基づき描いた、超リアル系大作映画。
反乱軍の将軍を拉致するためにブラックホークリトルバードによる空中強襲と、ハンヴィーによる陸上部隊の共同作戦。当初30分程度で終了するはずがソマリア民兵の予想外の抵抗で犠牲者が続出。部隊がいくつにも分断され追いつめられてゆく様は「遠すぎた橋」の英第1空挺師団を見るよう。
ヘリからのミニガンで民兵をなぎ倒す容赦ない攻撃。ズダボロになりながら走り続けるハンヴィー。繰り返し撃ち込まれるRPG。何度見てもひとたび戦闘が始まると目が離せなくなる迫力。勇ましいマーチなどは聞かれず、美しくも不気味に静かな中近東ミュージックがさらに効果大。
ここでのもう一つの楽しみは、何といっても湾岸戦争後の米軍兵士の個人装備。デルタフォースレンジャーのそれぞれの個性。ミニミやM60、M16、M4カービン、H&Kに混じってM14を使用している者もいる。サバゲーファン、フィギアモデラー必見。
女優がまったく出てこないのもの見所。「プライベート・ライアン」や「パールハーバー」ですっかり戦争映画づいたT・サイズモアが「俺に弾は当たらんのだ」とばかりに戦場で仁王立ちするかっこよさ。また「パールハーバー」でどもりの兵だったユエン・ブレムナーがここでも変な役回りになってたりして。ラストで兵士達が自分達に言い聞かせるように吐くセリフがなんとも空しく、いくらなんでもこれじゃ映画館でアメリカ人も意気消沈だろう。(2009/7)
 英雄の条件  RULES OF ENGAGEMENT 2000年米 130分 

監督:ウィリアム・フリードキン、出演:トミー・リー・ジョーンズ、ガイ・ピアーズ、サミュエル・L・ジャクソン

中東諸国では反米感情から、戦争や紛争までに至らないトラブルもたくさん起きている。
イエメンのアメリカ大使館で起きた暴動で、一般市民殺人の罪で米軍大佐(S・L・ジャクソン)が軍法会議にかけられる。その大佐の弁護を引き受けたのは、かつてベトナムでの戦友(T・リー・ジョーンズ)。冒頭で二人のその後の運命を決定したともいえるベトナムでの激戦シーン。そしてイエメンの米大使館では最新装備の米海兵隊によるレスキュー作戦を見ることができるが、物語の中心は軍法会議とその準備、およびおきまりの裏の駆け引き。
正義は守られるというエンディングでハッピーエンドだが、それはあくまでアメリカにとっての正義じゃないか?…と鼻につく人もいると思う。(2008/8)

 G.I.ジェーン  G.I. JANE  1997年米  126分  

監督:リドリー・スコット、出演:デミ・ムーア,ビーゴ・モーテンセン

女性兵士が特殊部隊SEALの訓練に参加し、差別、偏見、地獄の訓練に立ち向かう。政治家に利用されたりするも何のその。どこまでも力強く突き進む。現用アメリカ軍ファンには楽しい映画。
実戦さながらの過酷なSEALの訓練をこれでもかと見れるし、最後は突発事故ともいえる実戦参加まで用意されている。もちろん最後はハッピーエンド。アメリカ軍強い!最強!って映画。
この手の映画はラストでいつも派手にどんぱちやって決着つけちゃうけど、ほんとなら国際問題になって後が大変でしょ。
(2008/8)


 山猫は眠らない SNIPER   1992米 100分    

監督:ルイス・ロッサ、出演:トム・ベレンジャー、ビリー・ゼイン、J・T・ウォルシュ

現代米軍の狙撃兵を主役に置いた注目作。

戦争ではなく、パナマの麻薬王を暗殺する任務だが、一人の目標を確実に倒すまでの緊張感がすごい。
他の米軍歩兵部隊との仲の悪さ、パートナーとのチームプレーの難しさなどもさりげなく描かれ、
これが狙撃部隊ってものかと見入ってしまう。
一晩中干草の中に身を潜めたり、池の中に身を沈めて眠ったり。敵大部隊からの逃走あり、敵スナイパーとの一騎打ちの心理戦あり。
使用銃もオタクに嬉しいM40A1H&K・PSG-1、対する相手はドラグノフとサバゲーファン必見の映画。(2008/3)
 ア・フュー・グッドメン   A FEW GOOD MEN  1992年  137分 ★★

監督:ロブ・ライナー、キャスト:トム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア、
ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランド

海兵隊基地内で起きた死亡事故の真相を暴くため、主人公の弁護士が活躍する完全軍事裁判ドラマ。二枚目弁護士T・クルーズをバックアップする美人上官デミ・ムーア。相手の検事役をK・ベーコン。そして大物悪役大佐をJ・ニコルソン。他のわき役もなかなか贅沢な布陣で間違いなく楽しめます。

ただし戦闘シーンはもちろん、基地内でのお決まりの訓練シーンなどもない。ひたすら法廷及び法廷に臨むための自宅での作戦会議、基地内での被告人との面接といたって地味ながら、最後の最後はスカッとできる一作。  (2010/6)


 エイセス/大空の誓い ACES: IRON EAGLE III  1991米  99分  

監督:ジョン・グレン、出演:ルイス・ゴセット・Jr、サニ千葉、クリストファー・カザノフ

シリーズもの大三作で主人公達再登場。
第二次大戦の英米日独4人のベテランパイロットが、プロペラ機を駆使して活躍するB級アクション。
ペルーの麻薬組織。その首領がナチスの生き残りって設定。そいつらをやっつけるため4人が操縦するのはP‐38、スピットファイア、ゼロ戦、Me−109!
ユーゴスラビアのガレブというジェット戦闘機(ミグ17やF86世代?)と空中戦。
最後はドイツの対戦中の秘密兵器 Me263(もちろん実機ではない)というまるで日本の震電をジェット化したような不思議な戦闘機も登場。
地上のアクションシーンも多いので空戦に期待するとやや消化不良だが、4機の編隊飛行シーンは実に美しい。
ただしゼロ戦役はおなじみT-6テキサン、Me-109役はムスタングなので、やっぱ敗戦国の実機はほとんど現存してないんだなぁ…とあらためてしんみり。(2006)
ビデオ
 映像見当たらず  メタル・ブルー アイアン・イーグルU  IRON EAGLE II/METAL BLUE/IRON EAGLE II 
 1988年米  105分

監督:シドニー・J・フューリー、出演:マーク・ハンフリー、ルイス・ゴセット・Jr、スチュアート・マーゴリン

中東の某国(架空の国だが、地図では明らかにイラク、国旗はイランとイラクと北朝鮮を混ぜたデザインなのが笑える)のミサイル基地を破壊するため、冷戦中の米ソが協力して作戦を敢行。しかし集められたメンバーは優秀とはいえない上、協調性もなくけんかばかり。雪解け推進のために大統領がじかに話し合って決めたというが、裏にちょっとした陰謀もあり。あわや作戦は水の泡に…というところで一山も二山もあってだめメンバー達は一致団結!

アイアン・イーグルシリーズ第2弾。イスラエルで作戦開始ということでF-16役はクフィルだが、ミグ役がファントムってのが何とかならなかったか。ラストはミラージュを繰り出して空中戦。陸の戦いではソ連の装甲車としてM-113に安っぽい改造砲塔つけたのだが、敵はBTR−152、6輪車が地味だけど見もの。自動小銃はガリルなんかも使ってる。とにかくB級だけど、割り切って見ればジェット機が飛び回るシーンがけっこう楽しめるかも。(2008/11)
 ハートブレイク・リッジ HEARTBREAK RIDGE 1986米 2時間10分 ★★★

監督:クリント・イーストウッド、出演:クリント・イーストウッド、マーシャ・メイスン

朝鮮戦争の英雄老兵が、海兵隊の実戦未経験新兵ばかりのだめ部隊を叩き上げてゆくドラマ。
その老兵をイーストウッドが演ずるのだから面白くないわけはない。訓練や演習シーンが中心で実戦シーンはラストで少し…実際にあったグレナダ侵攻だが、ここでも戦争の悲惨さはわずかでスポーツのよう。
別れた女房も最後には温かく迎えてくれる…このラストはない方が良かったと思うなー、個人的には。(2007/1)




 トップガン Top Gun  1986米 110分  ★★

監督:トニー・スコット、出演:トム・クルーズ、ケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー、アンソニー・エドワーズ、メグ・ライアン

米空軍のエリートパイロット集団に入隊した主人公。美人教官との恋、親友の事故死などにあいながらもトップパイロットとなってハッピーエンド。青春映画のノリで今見ると、80年代のファッション、ダサいロックBGMもちと辛いが、ジェット戦闘機映画としては大ヒットし、後から後から似たような映画が作られました。
とはいえ訓練シーンと後半の実戦シーンとふんだんにF−14の勇姿が楽しめる。特に空対空ミサイル発射シーンがいい。訓練ではスカイホーク、実戦では敵ミグ役にF−5タイガーその他飛行はしないが空母艦載機のA6イントルーダーE2Cホークアイなども登場。今では退役してしまってる海軍機も見れるので、記録映画として保存版にしたい。(2008/11)



 アイアン・イーグル  IRON EAGLE  1985年  116分    

監督:シドニー・J・フューリー、キャスト:ルイス・ゴセット・Jr、ジェイソン・ゲドリック、デヴィッド・スーシェ

中東で訓練飛行中に撃墜され捕虜となり、なんと死刑を言い渡された大佐。救出に動こうとしない軍に業を煮やした大佐の息子(J・ゲドリック)は、退役軍人(ルイス・ゴセット・Jr)と組んでF-16による決死の救出作戦を試みる。

まずこんな事ありえないというアメリカン脳天気青春スカイアクションコンバット映画だ。F-16と敵軍ミグ(演ずるはミラージュみたい)の飛行シーンは美しいが、戦闘シーンそのものは割りと雑。だいたいストーリーに意外性はなく、エンディングもお決まりのパターン。
本作戦とは関係ない部分が前半に多いので、戦争映画としてより青春映画として力を抜いてみるべし。80年代BGMローックミュージックに服装やヘアスタイルも今見るとダサいのはガマン。
  (2010/5)

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