19世紀の戦争映画

 アラモ  THE ALAMO  2004米  137分  ★★  
監督: ジョン・リー・ハンコック、出演: デニス・クエイド, ビリー・ボブ・ソーントン, ジェイソン・パトリック, パトリック・ウィルソン, エミリオ・エチェバリア
アラモ砦の第3作目。何といってもジョン・ウェイン版のイメージが強いが、時代考証がより進んで南北戦争前のアメリカ軍の姿がよりリアルに描かれている。メキシコ軍とヒューストン将軍の本隊の描写が増えたものになっている。

新しい映画だけあって時代考証に基づいた服装から。決戦も昼間ではなく夜明け前。メキシコ軍の巨大砲の件もない。そして例によってデイビー・クロケット、トラビス大佐とボウイの3人も登場し、そのキャラクターがまたしても前2作とも違う。そしてアラモ砦の戦いで終わりかと思いきや、その後のヒューストン将軍の反撃まで描かれる。
全体的に地味なイメージで、好き嫌いは分かれそう。だが南北戦争以前のアメリカ軍を見たいならやはりこちらだろう。サンタ・アナ将軍は非情な悪者として描かれているが、アメリカ軍の戦いぶりも結局戦争好き、力で形をつけたがる民族だなぁ…と冷めた気分にもさせられるエンディングである。
アラモを忘れるな」は「パールハーバー」と並んでアメリカ国民の反撃の合言葉になっている。この映画が2004年にリメイクされた意味はどこにあるのだろうか。最近のアメリカ映画を見るたびに、ついついそんな考えがよぎる。
なお最後に字幕で「アラモから9年後テキサスは合衆国に加わった」と出るが、なぜ9年もかかったかというとすでに南北の対立が深まっており、テキサスが合衆国に入ると南部の力が強くなるので北部が反対したのである。 (2009/12)
 マスター・アンド・コマンダー  MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD 2003年 139分 ★★★

監督:ピーター・ウィアー、キャスト:ラッセル・クロウ、ポール・ベタニー、ビリー・ボイド  

1805年、ナポレオン皇帝のフランス(*)と対立する大英帝国。帆船の一騎打ちを描いたスペクタクル海戦映画。海戦、帆船に興味のない人も絶対に楽しめる一作。

性能では完全に劣っている英帆船サプライズ号。しかし巧みな戦略でどこまでも追い続ける一対一の海戦はまるで「眼下の敵 」のよう。しかし敵フランス船側の描写はなく、ひたすら不気味な存在として描かれている所も見応えあり。
また、この手の映画にありがちな寄港地での話、酒場の女とひと悶着…なんてものもなく、どこまでも洋上を突き進む帆船と、乗組員達の格闘する映像が素晴らしい。
 * ナポレオンがワーテルローで敗れるのは1815年。(2010/11)
サハラに舞う羽根   THE FOUR FEATHERS  2002年米  132分  ★★  

監督:シェカール・カプール、キャスト:ヒース・レジャー、ウェス・ベントリー、ケイト・ハドソン
1800年代、赤い制服に白いヘルメットのイギリス軍。臆病者の烙印をおされた男が自らに課す苦難。親友との絆、そして愛する人への想い。まさに大スペクタクル・ロマン巨編!て感じの映画です。

ズールー戦争」でお馴染みの赤服・白ヘルスタイル。戦場は植民地スーダンで、反乱部族との戦い。しかし主人公は派兵が決まったところで除隊を申し出て、仲間や婚約者から臆病者の烙印をおされる。その印として送りつけられたのが白い羽。主人公はそれを肌身離さず、まるで十字架を背負ったキリストのように苦難の道へ自ら入って行く。
その行動があまりに無鉄砲で、理解できる人とまったくわからんという人で、まずは二分しそう。
結果として仲間を助け出したりするのだが、あまりに奇跡的で、超人的活躍の連続なのでついて行けない人が出そうである。主人公に絡んでくる敵や味方のスーダン人の行動にも、首をひねるところ多々あり。主人公の親友と婚約者との三角関係はなんだか「パール・ハーバー」みたいだし、恋愛あり、友情あり、サバイバルありの大スペクタクルがアメリカ人は大好きですな。
中盤の戦闘シーンは(主人公の行動が謎だが)文句なしの迫力。前後の英軍の砂漠行軍の様子なんかも見どころ。だけどそのあとがちょっと長いので、何度も観るのはちと辛そう。(2009/12)
 ズールー戦争〜野望の大陸 ZULU DAWN  1979米・豪  117分  ★★★ 

監督:ダグラス・ヒコックス、出演:バート・ランカスター、ピーター・オトゥール

1879年1月12日のズールー王国軍と英国軍のイサンドルワナ(アフリカナタール地方)の戦いを描いた作品。
この戦いは、英国軍司令部がズールー軍の戦力、配置の判断を誤ったうえ、油断しきって遮蔽物も何もない平地で迎え撃った結果、壊滅に近い大敗を被った戦いである。とにかく大地を埋め尽くし、波のように押し寄せるズールーの大軍が恐怖。
前半では現地統治の英国軍人らが、婦人達と優雅にパーティーなどしながら英国の繁栄に安心しきっている様が描かれ、終盤で雪崩のように瓦解してゆく場面が実にショッキング。
ナポレオン時代の名残、真っ赤な軍服での戦いもこの頃までだろうと思われるので、そこもじっくり楽しみたい。

DVD化されてないので今後はわからないが、ビデオがあるうちにぜひ!(2006/10)
出ました!DVD (2009/8)
 戦争と冒険  YOUNG WINSTON   1972年英 124分 ★★

監督:リチャード・アッテンボロー、出演:サイモン・ウォード,アン・バンクロフト,ロバート・ショー,ジョン・ミルズ

ウィストン・チャーチルの若き半生を自伝的に描いた映画。
冒頭でインド植民地での戦いが見られたあと子供時代に話は戻り、陸軍に入隊する二十歳くらいまでは少々退屈だが、後半は珍しいスーダンでの現地兵との戦い、そしてさらに珍しいボーア戦争(1899〜1902年)。そこで捕虜になってから脱走劇まで、それこそ冒険映画の醍醐味。国会議員に返り咲いて成功するところで話は終わるが、19世紀のイギリス軍の戦いぶりをじっくり楽しめる。
騎兵による突撃や装甲列車での戦い。ズールー戦争の英軍と基本的に同じ装備だが、赤い軍服は姿を消し、薄いカーキ色となっている。クィーンズイングリッシュと英国式敬礼。英軍ファンにはおすすめの一作。(2008/11)

 ワーテルロー  WATERLOO  1969年伊・ソ  133分  ★★★

監督:セルゲイ・ボンダルチュク、出演:ロッド・スタイガー、クリストファー・プラマー、オーソン・ウェルズ

ナポレオン戦役の最終章、ワーテルローの戦いそのものを描いた大作。出演者は欧米勢だがソビエト映画!
ヨーロッパ連合軍に敗れナポレオンはエルバ島に流されたが脱出し、フランス皇帝に返り咲く。という様な部分は簡潔に描かれていて、ワーテルロー大会戦に重点を絞った正統派戦争映画である。
相手はウェリントン率いる英軍プロシア(ドイツ)連合軍。ナポレオンは終始強気に振舞うが、体調不良で若き日のエネルギーはすでにないのを自覚しつつ自問自答する姿が痛々しい。
歩兵、砲兵の他、槍騎兵、竜騎兵、軽騎兵などの違いをチェックするのも楽しい。ただ戦場の地形、軍の配置などの説明がいまいち少なく、戦況の推移がわかりづらいのが残念。当時の劇場パンフレットには詳しく解説されていたが。
ところで仏軍が主役の映画であるのに全員しゃべるのは英語。ナポレオン戦争をフランス語でリアルに再現した映画、誰か作ってくれないか…。(2008.12)
 戦争と平和  VOINA I MIO/ВОЙНА И МЦР/WAR AND PEACE   1965年・旧ソ連   全4部作・424分  ★★  

監督:セルゲイ・ボンダルチュク、出演:セルゲイ・ボンダルチュク(ピエール)、 リュドミラ・サベリーエワ(ナターシャ)、 ビャチェスラフ・チーホノフ(アンドレイ)
文豪トルストイの古典的名作小説を映画化。冷戦時代のソ連が総力をあげて製作した国家プロジェクト的超大作長編映画。ナポレオンによるロシア遠征の中で翻弄されるロシアの人々を描く。

60年代の国家的大作映画といえば「ヨーロッパの解放」(およびあまり知られていないが「モスクワ大攻防戦」)がある。「ヨーロッパの解放」も5部からなる超大作だが、どの部分にも戦闘シーンあり、歴史的イベントの再現ドラマありで(ソ連映画にしては)退屈しない見やすい映画だった。しかし「戦争と平和」は戦争を通して人生、あるいは人の命を考察する哲学的テーマに重きが置かれ、全編通して見るのはけっこう根性がいる。ざっと内容は以下の通り…
<第1部> 146分
ロシア社交界と登場人物を、ピエール、ナターシャ、アンドレイの3人を中心に紹介。アンドレイは勇敢な軍人。ナターシャは天真爛漫な少女。そしてピエールは経済的には何の不自由もない貴族で、将来の進路についてまだ決めかねている。フランスとの戦いも少し描かれるが、まだ祖国から遠くでの出来事であり、国民に危機感はない。
<第2部> 98分 
舞踏会でアンドレイとナターシャは知り合い、恋に落ち婚約する。しかしナターシャはまだ若いので、1年の期間を決め2人は距離を置く。その間ナターシャは女たらしのクラ−ギンに恋してしまい、アンドレイを裏切り悩む。1812年に入りフランスのロシア遠征が開始される。
<第3部> 82分 
ボロジノの戦い。人海戦術でど迫力の戦闘シーン。
<第4部> 98分 
ロシア軍は軍の温存作を選び、モスクワ防衛をあきらめ退却。ナポレオンは降伏勧告をするが拒否。略奪され燃え上がるモスクワの街。ついにフランス軍はモスクワを捨て撤退。しかし岐路、冬将軍につかまる。スパイの嫌疑でつかまっていたピエールも救出され、ナターシャと感動の再開を果たす。

というわけで1,2部ははっきり言って退屈極まりないが、3,4部は見ごたえ充分。そこで感動するためにも1,2部もガマンして見よう。例によって旧ソ連映画特有の理屈っぽさ充満で、特に心理描写を説明するナレーションがくどい。加えてフランス語のシーンでは(字幕ではなく)ロシア語のナレーションがかぶさってくるという(「ヨーロッパの解放」と同じ)うっとうしさもある。
ソ連映画にある程度免疫がないと辛いかもしれない。しかしこの大作を見たあとでは、アメリカ版「戦争と平和」を見る気にはなれないだろう。もちろんナポレオン戦役に興味がある人は見ておくべき作品。 (2012/10)
 ズール戦争 ZULU 1963英 2時間18分  ★★★ 

監督: サイ・エンドフィールド、出演:スタンリー・ベイカー、マイケル・ケイン、ジャック・ホーキンス

イサンドルワナの戦いで敗れた英軍の無残な姿で始まるこの映画は「ズールー戦争〜野望の大陸」ときっちり時間的につながっているので、続けて見たい。こちらはイサンドルワナの戦い(1879/1/12)とは比較にならないほど少人数の部隊が、数千のズールー軍相手に見事に戦い抜くロークスドリフトの戦い(1879/1/22)である。二つの建物(教会など)をつなぐようにワゴンを障害物として並べ、即席陣地として迎え撃つ英軍。この戦いでは実にビクトリア十字章が11人もの兵士に授与されている。

主役の指揮官工兵中尉はスタンリー・ベイカー。指揮官に最初は反発していたが、見事な指揮ぶりに次第に敬意を表してゆく副官に、まだ若くてほっそりとしたマイケル・ケイン。
繰り返される包囲軍の攻撃、いつまでたっても来ない援軍、増える犠牲者、士気を高めるために戦いのさなか大声で歌を歌いあう…などなど砦戦ものの醍醐味がたっぷり味わえます。(2006/10)
 アラモ The Alamo 1960米 190分 ★★★

監督:ジョン・ウェイン、出演:ジョン・ウェイン、リチャード・ウィドマーク、ローレンス・ハーヴェイ、フランキー・アヴァロン 、リチャード・ブーン 、リンダ・クリスタル

西部劇のジャンルに入るんだろうけど、私は限りなく西部劇に近い戦争映画…として見てみたい。
砦に入るまではデイビー・クロケット(J・ウェイン)が幅を利かせているが、砦に入ってからは指揮官トラビス大佐とボウイ(R・ウィドマーク)の確執。その中立的立場で控えめな演技をするJ・ウェインがなかなかいい味。規則ずくめでお堅いトラビスだが、戦士としてはぴか一。ボウイもクロケットもそれを認め、最後は3人力を合わせ…というできすぎたストーリー。
テキサス独立のため、勇士たちがどのように集まってきたかを長々と描く前半はやや疲れる。相変わらず意味なく殴りあったりするし。しかし戦闘シーンは前哨戦と総攻撃の二段階で楽しめる。戦術的な解説も入りマニアも満足。テキサス人とテネシー人合同連合は、灰色と茶系統の服装で南北戦争の南軍のよう。
アメリカ人にとっては「パールハーバー」と共に反撃の合言葉となる「アラモ」メキシコ独裁者サンタアナから自由を勝ち取る戦い…と言われても、力づくで領土を広げただけの話、といえばそれまで。最近なぜか、こうゆう映画を素直に楽しめなくなってきました。(2006/10)
 ヴェラクルス  VERA CRUZ  1954年  94分  

監督:ロバート・アルドリッチ、キャスト:ゲイリー・クーパー、バート・ランカスター、シーザー・ロメロ

1860年代後半、内戦が続くメキシコ。賞金目当てのアウトローなどが助っ人にやって来る。主人公(G・クーパー)は元南軍兵士。名うての無法者(B・ランカスター)と知り合い、皇帝軍に参加する。フランスへ兵力の増員を要請するため大金と女の護衛を買って出るが、女の裏切りやアウトロー同士のだましあいが続き、メキシコ軍と反乱軍と三つ巴の駆け引きに…。

これもジャンルは西部劇なんだけど、メキシコ軍の装備と戦いが見どころの異色作。メキシコ軍立てこもる砦攻撃のクライマックスは時間的にはわずかで残念だが、ライフルのほか、大砲、ガトリング銃、手投げ弾などでわくわくする。とことん悪を体現するランカスターと、正義の人クーパーの一騎打ちもあり。「アラモの砦」の雰囲気が好きな人、一味違った西部劇を楽しみたい人にはもってこいの作品。


(2014/4)
 戦争と平和  WAR AND PEACE  1956年 208分  ★★

監督:キング・ビダー、出演:オードリー・ヘプバーン,ヘンリー・フォンダ,メル・ファーラー,ビットリオ・ガスマン

ロシアを代表するトルストイの原作を200分以上の大作に映画化。
ナポレオンのロシア遠征である。戦闘シーンは前半ではアウステルリッツの戦いがほんの数分だが、後半のボロディノの戦いはなかなか見応えあり。またべレジナ河を渡河して退却する仏軍に、追い討ちをかけるシーンも仏軍ファンには痛い。
しかしそれ以上に見ものは、もぬけの殻になったモスクワ占領をあきらめフランスに帰国する大軍が冬将軍にじわじわ飲み込まれてゆく有様。秋雨によるぬかるみにはまり、そして大雪に埋まってゆく。第2次大戦のドイツ軍そのものである。
物語はO・ヘップバーン演ずるヒロインを中心として、恋愛模様が繰り返し続くので、戦争映画として見ようとすると辛いものはある。だがヘップバーンの可憐さ、可愛さは格別なので、けっこう見入ってしまうかも。彼女のファンでなくても。

ところで本家ソビエトでは、この208分をはるかに超える424分(7時間!)の超大作を1965年に製作している。
 アラモの砦 The Last Command 1955年米 110分 ★★
監督:フランク・ロイド、出演:スターリング・ヘイドン、アンナ・マリア・アルバーゲッティ、アーサー・ハニカット、リチャード・カールソン、アーネスト・ボーグナイン

「ジョンウェイン版アラモ」があまりに有名で、こんな映画あるのも知らなかったけど、5年前にできてた作品。「ジョンウェイン版」とけっこう設定が違ってて面白い。
まずこちらはジム・ボウイが主人公。サンタ・アナとの交友関係が大きく取り上げられているのが新鮮。妻子の死亡の報もずっと早く入り、一人になってから新たなロマンスも芽生える。一方デイビー・クロケットは本当に山奥の猟師風で、砦に入る直前に合流するだけ。
戦闘は砦に入る前にメキシコ軍を一回待ち伏せ攻撃。重砲を夜襲するのは同じ。1時間50分と短いせいか総攻撃も一回のみで正味10分くらいで終わってしまうが、それなりに迫力あり。足の負傷の時期も違い奴隷は連れていない、などなど見比べると楽しいです。(2006/10)

(←輸入ビデオです)

 北西騎馬警官隊  NORTH WEST MOUNTED POLICE   1940年 125分   

監督:セシル・B・デミル、キャスト:ゲイリー・クーパー、ポーレット・ゴダード、マデリーン・キャロル、プレストン・フォスター、
ジョージ・バンクロフト、エイキム・タミロフ、ロン・チェイニー・Jr

自治領にはなったがまだ完全に独立はしていないカナダが舞台。殺人犯を追ってはるばるテキサスからやってきたテキサスレンジャーのリバース(G・クーパー)。治安維持に活動する騎馬警官隊に混じって殺人犯を追うが、英政府転覆を狙う組織や先住民族の争いに巻き込まれる。

限りなく西部劇に近い映画だが、ユニオンジャックを砦に掲げる赤い服の騎馬警官隊が見られるのはこの映画だけ。イギリスに反抗して新政府を立ち上げようとする一団は、巧みに先住民をけしかけたり、新型のガトリング銃で騎馬警官隊をピンチに落とし入れる。そんな中で一人アメリカ人の主人公は騎馬警官隊の脱出を援護したり、ヒロインの弟の汚名を返上したりと活躍しながらも、あくまで自分はよそ者といった風情を漂わせながら殺人犯を追ってゆく。その飄々とした役柄がクーパーにはぴったりで、ヒロインと結ばれないしゃれたエンディングもよし。森林と渓谷のシーンも多く、普段見慣れた西部劇とは一味違う味わいもよし。たまにはこんな美男美女多数出演の古きよき冒険活劇にどっぷりひたって、あわただしい日常生活を忘れるってのもいいと思うよ。(2012/3)
 進め竜騎兵 THE CHARGE OF THE LIGHT BRIGADE  1936年 モノクロ116分 ★★  

監督:マイケル・カーティス、出演:エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、パトリック・ノウルズ

19世紀中頃、世界各地に植民地を持っていた英国の騎兵隊の戦いを存分に味わえる古典活劇。
前半はインド現地反乱軍(砦戦!)と、後半はクリミア戦争ロシア軍(騎兵突撃)と、史実に基づいた戦いが二度楽しめる。CGなんかなかった時代の作品と思ってみたら、その迫力にはあらためて圧倒される。
主人公と弟が同じ女性を愛したことがストーリーの軸になっているなど、ボー・ジェストの英国版といった趣もあり。
なお、ラストのロシア軍砲兵陣地への突撃(バラクラバの戦い)はここでは勇敢な行為として描かれているが、かなりの犠牲者を出しており、無謀な作戦として描いた映画も別にあるらしい。 (2009/7)

 ベンガルの槍騎兵  THE LIVES OF A BENGAL LANCER  1935年  109分  ★★★

監督:ヘンリー・ハサウェイ、キャスト:ゲイリー・クーパー、フランチョット・トーン、リチャード・クロムウェル、ガイ・スタンディング

英国領インド。反乱部族との戦いでもっとも危険な辺境の地に駐屯する英軍騎兵隊を描いたアクション大作。反乱部族との戦いはもちろん、乗馬突撃の訓練、馬の手入れなど騎兵隊の日常がさりげなく描かれているところも楽しい。1930年代の古い映画だがお勧めの映画。

厳格な指揮官と、士官学校上がりで着任してきた兵としては未熟な息子。その間を取り持つ主人公と、ライバル心を燃やしながらも硬い友情を築いてゆく同僚。この4人が織り成す軍隊の規律と男の友情ドラマ。エンディングは名作「ボージェスト」を思い起こすような感動の結末。大英帝国ファン必見の一作。(2013/6)

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