第1次世界大戦

 バトル・オン・フロントライン USマリーン要塞奪還指令  COMPANY K   2004年   105分 

監督:ロバート・クレム、キャスト:アリ・フリアコス、テリー・セルピコ、ジョー・デラフィールド

第1次大戦のアメリカ軍。実際に歩兵と参加し、過酷な体験から戦後も精神的苦痛に悩まされ続けた兵士の自伝を映画化。過酷な体験から、戦後も精神的苦痛に悩まされ続けた男の実体験に基づく物語。出兵から訓練、実践参加、そして終戦を迎えた後も続く苦悩。主人公だけでなく戦友たちの物語も描いているので、やや散漫な印象の残念な作品。


主人公のキャラクターが薄いので、誰が主人公か見失いそうになる困った映画。いろんな兵士たちの苦悩をカタログ的に並べたのかなと思うと、終戦を迎えても話は終わらず、やっぱり最後は主人公に戻ってきてドイツ兵の亡霊まで出てくる始末。その兵士たちの苦悩だがなぜかいま一つ伝わってこないのは、2000年以降の作品とは思えない戦闘シーンの迫力のなさによるもの。第1次大戦につきものの、ものすごく激しい砲撃、大量の人員を投入する突撃、劣悪な環境の塹壕内部…といった物がないのである。砲撃も兵員も少なく、塹壕内部はこぎれい。おまけにピーカンに晴れた日が多くて。戦車はちょこっとルノーFTが走るんだけど、これも博物館から借りてきたみたいにピカピカな奴で。あとドイツのアルバトロス風のが一機、低空射撃する。第1次大戦のアメリカ兵の服装をチェックしたい人は見ても損はないかも。原題は「K中隊」    (2012/8)
 レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い LEGENDS OF THE FALL  1994年米 132分 

監督:エドワード・ズウィック
出演:ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、エイダン・クイン、ジュリア・オーモンド、ヘンリー・トーマス、カリーナ・ロンバード

アメリカ映画お得意の“歴史の大きなうねりに翻弄されながら愛し合い憎み合いながら力強く生きてゆく人間の大河ドラマ”である。「風と共に去りぬ(南北戦争)」〜「パールハーバー(太平洋戦争)」あたりをもほうふつとさせる作品だが、こちらは第一次世界大戦である。ヘルメット着用以前のアメリカ軍である。変な帽子の騎兵トルコ軍か?…ただし残念ながら戦場のシーンは15分程度で物足りない。(2007/7)

 剃刀の刃  THE RAZOR'S EDGE   1984年 127分    

監督:ジョン・バイラム、原作:ウィリアム・サマセット・モーム、キャスト:ビル・マーレイ、テレサ・ラッセル、キャサリン・ヒックス
旧作:(THE RAZOR'S EDGE 製作年度: 1946年 監督: エドマンド・グールディング 上映時間: 146分 )

第1次世界大戦の過酷な体験により生きる道を失った主人公。婚約者も上流社会の生活も捨て自分探しの旅に出る。炭鉱夫からチベット層まで体験し心の平穏を手にするが、旧友と再会しても幸せをつかむ事はできなかった。

喜劇ドラマが得意なビル・マーレイ(ゴースト・バスターズ!)がシリアスな演技に挑んだ一作。サマセットモーム原作で1946年にも映画化されている。戦争や大恐慌が描かれ、主人公はフランスからインドへと旅をする大河ドラマ仕立て。しかしエンディングもすっきりせず、これからどうするのかはっきりと答えは示されない。見る人によって賛否の分かれる作品で、その人の人生観に左右される映画と思う。こういう映画は小説で味わったほうが感動できるかもしれない。

さて第1次大戦の描写だが、前半に数分あるだけ。戦闘機が低空飛行したり、フランス軍とイギリス軍が混在していてフランス語が随所に聞けたりなかなかふんいきは出ているが、戦闘シーンそのものは歩兵戦がわずか。 (2011/3)
 アンザックス ANZACS  1984オーストラリア劇場未公開 183分 ★★

監督:ジョージ・ミラー、出演:ポール・ホーガン、アンドリュー・クラーク、ミーガン・ウィリアムズ

第1次世界大戦に参戦したオーストラリア・ニュージーランド混成部隊の物語。第2次大戦同様、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド軍は英連邦軍として参戦したが、イギリス軍上層部のオーストラリア軍を見下した態度(カナダ軍にはかなりの評価)が面白い。

オーストラリア軍の装備は基本的に英軍と同じだが、ヘルメット以外にブッシュハット(カウボーイハットに似た帽子)が正式採用で、その片方のふちを縦に折ったスタイルは粋。敬礼は英国式だ。
全体的な迫力は標準レベルだが、まずガリポリ上陸作戦(失敗して撤退)で珍しいトルコ軍との戦闘。フランスに戻ってからはドイツ軍相手に戦う。ドイツ軍のヘルメットが前半ではとんがり付だが、後半ではなくなっているなど芸が細かい。最後の方の戦いでは英軍の世界初戦車マーク1も登場。見慣れた塹壕戦だけでなく市街戦などもあり、けっこう飽きずに見れる。オーストラリア軍を描いたオーストラリア作品ということで一件の価値あり。(2007/11)
 ジョニーは戦場へ行った JOHNNY GOT HIS GUN 1971年米 112分  

監督:ダルトン・トランボ、出演:ティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、マーシャ・ハント、ジェイソン・ロバーツ、ドナルド・サザーランド

これはとんでもない映画である。一発の砲弾で吹っ飛ばされて胴体と頭だけになってしまった男。意識だけあって生きているものの、周囲そのことに気づかず…。
真っ暗な中で覚醒していく意識。記憶をたどり残された感覚だけで、自分の状態、置かれた状況を探ってゆく。だがこれは実話に基づいたものだというから戦争は悲惨である。 (2007/11)

 ツェッペリン 1970 英 102分 ★★★

監督:エチエンヌ・ペリエ、出演:マイケル・ヨーク、エルケ・ソマー

ドイツ軍が中心、そしてツェッペリンがメインメカという映画はそれだけで貴重。
ミニチュア使用でもゆったりと動く巨体は迫力あり、英軍のS.E.5戦闘機との空中戦もわくわくする。限られた空間での物語りは、見ているものも乗船しているような気分にさせてくれる。スパイとなって乗り込むイギリス人の主人公。そしてツェッペリンの極秘任務と飽きさせないストーリー。英独の地上戦も見ものなスパイ+アクション戦争映画。(2006/12)

 ブルー・マックス THE BLUE MAX 1966米 155分 ★★★

監督: ジョン・ギラーミン、製作: クリスチャン・フェリー、原作: ジャック・D・ハンター
脚本: ジェラルド・ハンリー、デヴィッド・パーサル、ジャック・セドン、撮影: ダグラス・スローカム
出演: ジョージ・ペパード, ジェームス・メイスン, ジェレミー・ケンプ、ウルスラ・アンドレス

第1次大戦の陸戦というと、まず泥だらけの塹壕のイメージ。この映画はそんな泥沼から這い上がろうとした男の悲しい物語。歩兵から戦闘機乗りに転向し、撃墜王をめざす主人公。当時はパイロットは貴族出身が中心で、まだ武士道精神が生きていた。そんな中で周囲と摩擦を起こしながらなりふりかまわず撃墜数を増やしてゆく。戦局の悪化に伴いヒーローとして利用されるがその末路は…。
そんなストーリーも悪くないが、何といっても見どころは実機をとばしての空中戦。複葉機と思って侮るべからず。まさに「空軍大戦略」の第1次大戦版。大半は第2次大戦当時の練習機デ・ハビランド“タイガー・モス(懐かしいサンダーバード6号!)のレプリカらしいが、よくできていて何ら違和感なし。
ドイツ軍は主人公が乗るフォルツDVファッカーDZの混成部隊。なぜかアルバトロスらしき映像も混じってる。後半は三葉機ファッカーDrTも参加。英軍はS.E.5Aだが、よく見るとそのままタイガー・モスらしいのがいる。
また陸の戦いも同時に描かれ、翼下に爆弾6個ぶら下げての地上攻撃シーンも。実に迫力の映像だけど、これは実際にあったか??ただ主人公と女性とのカラミがちょっとかったるい。欲を言えば女は登場させず、2時間くらいにまとめて欲しかったなぁ。…60年代のアメリカ映画だから仕方ないけど。   (2009.8)
 武器よさらば  A FAREWELL TO ARMS  1957年  152分

監督:チャールズ・ヴィダー、出演:ロック・ハドソン、ジェニファー・ジョーンズ、ヴィットリオ・デ・シーカ

第1次大戦も第2次大戦同様数十カ国が参加しているが、イタリアと日本が連合軍側である点が最も大きな違いと言えるか。そのイタリア軍に衛生兵として参加したアメリカ人(米軍参戦前の物語)が主人公なのだが、英軍の看護婦と恋に落ちてしまい、退却と混乱の最中意図せず逃亡兵のみになってしまう。二人の恋の逃避行がメインストーリーでスイスに逃れてハッピーエンドかと思いきや最後も悲劇。
戦闘シーンは少なく、それも砲撃ばかりでドイツ・オーストリア軍そのものは姿を見せず。珍しいイタリア軍の軍装のみ見所。二人の甘い新婚旅行みたいな描写が多い反面、退却シーンでは道端で倒れている母親のおっぱいを吸い続ける赤ん坊など、一般市民の犠牲者もシビアに描かれている。
(2007/11)


 突撃 Raths Of Grory 1957米 モノクロ1時間27分  ★★

監督:スタンリー・キューブリック、出演:カーク・ダグラス、ラルフ・ミーカー、アドルフ・マンジュー、ジョージ・マクレディ

第1次大戦のそれも完全な塹壕戦になってからのフランス軍。無謀な作戦の失敗を隠すため、兵士が3人選ばれ銃殺される。どこにもある軍首脳部の腐敗ぶりを、キューブリックらしからぬ?感じでまじめにまじめに描いている。

突撃シーンも「西部戦線異状なし」のほうが迫力あるくらいで、戦車も出ないしドイツ兵との白兵戦もない。しかしカメラワークも含めた全体的なあっさり感が、私は割と好き。無駄や余計なものがまったくない清清しさと言おうか。ラストシーンも感動や感情の高まりも地味で、ジンワリ後から効いてくる感じで。
この映画も全編英語。フランス語で見てみたい。(2006/10)
 ヨーク軍曹  SERGEANT YORK  1941年米 134分  

監督:ハワード・ホークス、出演:ゲイリー・クーパー、ウォルター・ブレナン、ジョーン・レスリー

テネシー州のすごい田舎で百姓をしている、飲んだくれで無神論者の主人公G・クーパー。
ある時雷に打たれて死にそうな経験をして、信仰心に目覚める。
第一次世界大戦に米軍も参戦。召集され従軍するが、神を信じながら殺人を行なうことの葛藤にさいなまれる。しかし悩みを振り切り勇敢に戦い、大手柄をたて勲章を受け、全米のヒーローとなって帰国する。実在の人物映画化だそうだ。
戦闘シーンは後半に15分ほどだが、けっこう見れる。
主人公は“オールアメリカン”こと82師団。もちろんこの時はまだただの歩兵師団だが、師団マークは同じだ。第二次大戦で空挺師団創設計画が起こり、82空挺師団となった。
(2007/11)


  大いなる幻影  LA GRANDE ILLUSION 1937年 仏   117分  ★★

監督:ジャン・ルノワール、キャスト:ジャン・ギャバン、ピエール・フレネー、エリッヒ・フォン・シュトロハイム

WW1のフランス空軍パイロットマルシャル(J・ギャバン)。写真偵察の飛行任務に出るが、あっさり撃墜され捕虜に。捕虜収容所で脱出を図るが失敗。さらに後方の収容所へ。脱出を助ける英軍将校と収容所所長とのやり取り、退避行の途中ドイツ戦争未亡人宅での平和なひと時など、古きよき時代のゆったりとした流れを味わいたい古典名作。


ほとんど収容所が舞台だが、第2次大戦とは違い番兵と捕虜のやり取りものんびりムード。特に収容所所長と英軍将校の交流と別れのシーンは胸を打つ。戦争未亡人宅にかくまわれ、平和な時間を満喫しつつもやがて別れが。戦争映画でありながら人の出会いと別れが随所に描かれた、哀愁漂う味わい深い古典で、ノスタルジックな気分を味わうのもたまには良いもの。
なお、脊髄損傷でギブスを付けた上から軍服を着ている収容所所長。「スターウォーズ」第1話のラスト、一騎討ちに敗れたダースベイダーがマスクを取ったときの雰囲気がそっくり。ここからアイデア取ったと思うぞ。  (2014/11)
  肉弾鬼中隊  THE LOST PATROL  1934年  75分    (WW1)

監督:ジョン・フォード、キャスト:ヴィクター・マクラグレン、ボリス・カーロフ、ウォーレス・フォード

第1次世界大戦、メソポタミヤ砂漠地帯で孤立してしまった英軍偵察部隊。オアシスを見つけ救援を待つが、ベドウィン部族に包囲され一人また1人と倒れてゆく…。

「〜中隊」と日本のタイトルにはあるが、登場するのは10人程度の分隊。砂漠のオアシスに孤立し、一人また一人とやられるが、やられ方がややワンパターン。相手が映らないというのも逆に迫力半減。途中で複葉機が出てくるがソードフィッシュみたいでちょっとWWTらしくない。砂漠に難なく着陸してしまうのも安易だし。
「フランケンシュタイン」でおなじみのボリス・カーロフが信心深い狂気の兵士を演じるんだけど顔がやっぱりフランケンシュタインなのがちょっと弱りもの。30年代だなぁ〜と感じさせてはくれる。
「ボージェスト」や「サハラ戦車隊」を思い〜っきりスケールダウンした作品、と思えなくもないが、とにかく古い映画なのでそれを差し引いてみないと辛い。ただ、主人公も含め誰も超人的な活躍などできず、ぎりぎりのところまで追い詰められてゆく描写は見もの。
なおこのようなDVD化された古い作品を見た人は知ってると思うけど、早い動きがあると映像がぶれて残像が目障り。ビデオテープのほうがむしろ見やすいんだよね。(2013/6)
 西部戦線異状なし  All QuietOn The Western Front 1930米 モノクロ2時間11分  ★★★

監督:ルイス・マイルストン、出演者:ルー・エアーズ、ルイス・ウォルハイム、ジョン・レイ

1930年(第2次大戦前!)作の古典的名作。
中盤のセリフのない7分あまりの戦闘シーンは、モノクロで荒い画質のためまるで実写フィルムのような迫力。カメラが左右に移動しながら機銃にばたばたと倒れていく兵士を写す。フランス軍に数で押され塹壕で白兵戦となり、総崩れになるドイツ軍。しかし後列の塹壕に退くと味方の猛砲撃が始まり、仏軍の前進がひるんだところで今度は独軍が反撃。

負傷して野戦病院での描写もあり。休暇で故郷に帰ったときは、戦場と平和な日常の生活が逆転したような非現実感を味わう場面あり。その後の様々な戦争映画のお手本となるようなシーンがぎっしり詰っている。
オールドイツ人キャストでドイツ語でリメイクしてほしいなぁ。(2006/10)
 担え銃 Shoulder Arms 1918米 37分 

監督:チャーリー・チャップリン、出演:チャーリー・チャップリン、エドナ・パービアンス

いきなり「このフィルムは大英帝国博物館に収められた記録映画である」というナレーションで笑わせてくれる。アメリカ軍に入隊、新兵訓練から始まって、おなじみの小ねたを次々披露。塹壕戦でもどたばたは続くものの、雨で陣地が水浸しになるなど、厳しい戦場の現実も描かれる。
塹壕を出るとフランス女性と知り合い、ドイツの将軍を捕まえて大手柄…でハッピーエンドと思いきや、なーんだというおちもあり。戦争映画コレクションの片隅に添えたい小品。(2007/7)

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