20世紀その他

  バルト大攻防戦    2002年 エストニア、フィンランド  91分  
  NIMED MARMORTAHVLIL/NAMES IN MARBLE/NIMET MARMORITAULUSSA
  
監督:エルモ・ヌガネン、出演:プリート・ヴォーイゲマスト、インドレク・サムール

第1次大戦後のエストニアが舞台。帝政ロシアが崩壊し新たに誕生したソビエトは、バルト3国(エストニア、リトアニア、ラトビア)に侵攻を開始する。
エストニアの独立を守るため、義勇兵として参戦した兵としては素人同然の学生たちが主人公の映画。
物語はエストニア対ソ連の戦いかと思いきや、事はそう単純ではない。
エストニア内にも親ソ派がおり、内戦の様相を呈する。途中、中共軍も登場するし、最後はリトアニア軍との戦闘が描かれるという複雑さ。大国ソ連に対する感情、距離のとり方が一人一人違うと共に、バルト3国でも違いがあるのだろう。
この辺は島国日本人には最も理解困難なところ。
この映画は独立を守り抜いた1920年頃を描いた物語であるが、その後国力を増したソ連にバルト3国は無抵抗で編入され、1991年連邦崩壊と共にやっと真の独立を果たすのである。戦車などは登場しないが、銃撃戦はなかなかリアル。
全編エストニア語!だが、DVDは親切に日本語吹替えがついている。(2007/12)
 レジョネア 戦場の狼たち LEGIONNAIRE   1998年 98分  ★★  

監督:ピーター・マクドナルド、キャスト:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、スティーヴン・バーコフ、ジム・カーター

1920年代フランス、マルセイユ。ボクサーのアランは、愛する女とアメリカへ渡るという夢のためマフィアから八百長試合を引き受ける。しかし闘士としてのプライドが勝り相手を倒してしまう。前金だけ奪い逃亡を図るが、追い詰められ外人部隊の入隊事務所へ駆け込む。しかし任地となったモロッコまで殺し屋は追って来た…。

フランスが強国だったころ、その外人部隊は、社会のクズとみなされた者で編成されていた…”という字幕で始まり、入隊するまでの20分間が実にベタベタな展開。アフリカへ送られ訓練を受け辺境の砦に向かうが、居場所がばれて殺し屋も入隊してくるくだりはもう漫画みたい。映画評なんか見ると、人間関係の描写が薄っぺらなどというものがあるが、これだけの内容を90分程度に詰め込んだのだから仕方ない。この程度が見やすくていいんだよ。最近の映画は2時間半なんてざらで、とても気軽に繰り返し見れやしないもの。
砦への行軍中の奇襲で小隊長が戦死、鬼曹長が替わりに指揮をとるというお約束の流れ。今にも崩れ落ちそうな砦も、最果ての守備隊のふんいきを盛り上げる。第1次大戦後なので、ルイス機関銃や迫撃砲なんかも登場。対する原住民部族も手投げ爆弾や小型野砲と強力。1920年代なので見慣れた青服でないのが残念だが、外人部隊もののエッセンスがすべて味わえる、おすすめのB級娯楽作品。(2012/4)
 セブン・イヤーズ・イン・チベット SEVEN YEARS IN TIBET  1997年  126分  ★★ 

監督:ジャンジャック・アノー、出演:ブラッド・ピット、デヴィッド・シューリス、マコ、ダニー・デンゾンパ

実在のオーストリア人登山家ハラーの実体験を映画化。1939年ナチ最盛期にチベットヒマラヤを目指し旅立つが、英領インドを通過中敵対関係にある英軍の捕虜となってしまう。脱走に成功しチベットのラサで生き延びる道を見出すが、第2次大戦が終了すると成立した中国共産党がチベットを武力征服にやってくる。
ロッククライミング、英軍捕虜収容所からの脱走、サバイバル行、そしてほんの数分ではあるが中共軍とチベット軍との戦闘と見所たくさん。
中共軍の主要武器はPPS-43だが、モシンナガンライフルの他、M-3グリースガンまで混じっているのが面白い。
国共内戦で国民党政府へ貸与された米軍武器の分捕り品だろうか。(2008/1)


 南京1937/DON'T CRY NANKING  1995年日・中・香港・台湾合作  ★★

監督:ウー・ツーニウ、出演:早乙女愛、チン・ハン、レネ・リウ

はじめ中国映画だとばかり思っていて、南京大虐殺の映画だからどんなもんだろうと思っていたが、とんでもない映画…でもなかった。早乙女愛が主演ということで、彼女は中国人医師との間に二人の子供がいて、さらに妊娠している日本人女性を演じている。この家族を通して戦争の悲惨さ家族の絆を描いているまともな戦争映画だと思う。
確かにこの映画でも日本軍が鬼や獣のように描かれはいる。中国のプロバガンダ映画として憤慨する人もいるかもしれない。しかし日本人女性が主人公なのでそっちに感情移入され、その苦悩に心奪われ、日本軍の蛮行は大して気にならなかった。それを前面に出すには描写に迫力がなく、この程度のことならどこの国もやってるだろうという感じだ。字幕で例の“犠牲者30万人”を出しているはいるが、それだけのことだ。
戦闘シーンは、日本軍の軽戦車や走行車輌もそれらしくできていてけっこう見れる。中国はドイツやアメリカから武器を輸入していたので、ドイツ軍と同じヘルメットをかぶっているし、M3グリースガンなどを使用しているのが見れる。(2008/10)
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 ウィンター・ウォー  WINTER WAR/TALVISOTA 製 1990年フィンランド 135分 ★★ 

監督:ペッカ・パリッカ、出演:タネリ・マケラ、ヴェサ・ヴィエリッコ、チモ・トリッカ  
ポーランドの東部を占領し、バルト三国をも併合したソビエトの次の狙いはフィンランドだった。1939年11月から約4ヶ月に渡ったソ連−フィンランド戦争を描いた珍しいフィンランド映画。

小国フィンランド軍の武器・装備は寄せ集め。ヘルメットや手榴弾は第1次大戦のドイツ製。短機関銃やライフルはソ連製を国産化したもの。考証にこだわったのはそんな小物だけでなく、ソ連軍の戦車はおなじみT‐34ではなく、旧式のT-26。模型のようだが飛来するのはI−16戦闘機。
自国内での戦いで前線が近いため、つかの間の休暇に家族のもとで過ごしたり、サウナ風呂に入るシーンなどもあったりする。物量で押してくるソ連に対し、最後の一人になっても戦い抜くと誓った兵士達の、泥まみれ血まみれの戦闘シーンが繰り返される。最終的には講和条約が結ばれ領土の一部をとられてしまったが、ソ連軍は小国フィンランドを相手に膨大な損害を出し、これがヒトラーをして対ソ戦を決意させた一因であるとも言われている。 (2010/1)
 外人部隊フォスター少佐の栄光  MARCH OR DIE  1977年 104分 

監督:ディック・リチャーズ、出演:ジーン・ハックマン、テレンス・ヒル、カトリーヌ・ドヌーヴ

外人部隊というと「ボージェスト」があまりに有名で、単発式ライフルの古きよき時代の話というイメージがあるが、二つの世界大戦にも参加し、現代まで続く長い歴史を持つ。
この物語は第1次世界大戦から帰還したところからスタートする珍しい設定。

戦いの部隊はやはりモロッコだが、第1次世界大戦後なので重機関銃や携行機関銃、組み立て式歩兵砲などが使用されている。しかし物語のほうは、戦争で愛する男を失った女性とその前に現れた女たらしの兵士、そして軍人気質の指揮官の織りなすドラマ。だが女たらしの兵士が最後は指揮官の遺志をついで立派な兵士になっている…様な感じなんだが何となく納得できるようなできないようなで、見終わってすっきりしなかったなぁ。 (2009/5)

 風とライオン  THE WIND AND THE LION   1975年 119分   ★★  

監督:ジョン・ミリアス、キャスト:ショーン・コネリー、キャンディス・バーゲン、ブライアン・キース

1904年のモロッコ。欧米諸国の支配に対抗する部族が、アメリカ大使館を襲い、婦人と子供を人質に連れ去る。時の大統領ルーズベルトは海兵隊に出撃を命じ、救出作戦を強行する。

第1次大戦前のモロッコに駐屯する英米独などの軍隊が登場。ドイツ軍は例のとんがり付ヘルメットだが、砂漠用のダークイエロー。アメリカ軍はまだ騎兵隊の面影残る青色基調の軍服など、この時代を扱った映画は少ないので思わぬ場面に興味津々。
ただ部族の長を演ずるショーン・コネリーはやっぱり英国紳士の匂い漂い、アフリカの原住部族民に見えないのがちょっと困ったりする。  (2010/11)

 砲艦サンパブロ  THE SAND PEBBLES 1966年  195分  ★★★  

監督:ロバート・ワイズ、キャスト:スティーヴ・マックィーン、リチャード・クレンナ(船長)、キャンディス・バーゲン、リチャード・アッテンボロー(同僚の水平)、マコ(マックイーンの下で働く中国人)

1926年上海。国内の混乱に乗じて支配を強めたい列強各国。しかし中国国民党と共産党は一気に行動を拡大。アメリカ海軍の末端に位置するおんぼろ砲艦サンパブロは、くしくも歴史の表舞台に放り出されることになる。

中国人とも対等に付き合おうとし、ひたすら軍務を忠実にこなす水兵を演じるマックイーン。次第に周囲から孤立してゆくが、親友の水兵や宣教師に師事する女性教師との関係など、物語はどう進展するのかとそろそろだれかけてきたところで、事態は一気に緊迫。後半はアクション戦闘シーンが楽しめるので、前半も辛抱してじっくり見るように。
艦内で暴動は起きるのか?マックィーンは造反するのか?だめ艦長はだめ艦長のまま終るのか?…ちょっとあっちこっちへと広がりすぎて見ていて混乱するが、星条旗を掲げ戦闘モードに入るや全員一丸となるアメリカ軍の強さ、単純さ。
エンディングも意外な感じで、けっこう重々しさを残して終る。3時間以上の大作だが、マックイーンの孤高のかっこよさ、アクショーンシーンでのきびきびした動きにどっぷりとはまりたい。水兵の装備するのは、まだボトルアクションのスプリングフィールド銃だが、支援火器のBAR(ブローニング自動小銃)が大活躍。ワンマガジンでずっと撃ちまくるなんて適当なことはせず、いちいち予備マガジンを持って動き回る描写も嬉しい。(2011/10)
 ロスト・コマンド 名誉と栄光のためでなく Lost Command 1966 129 分  

監督:マーク・ロブソン、出演:アンソニー・クイン,アラン・ドロン,ジョージ・シーガル

1950年代のフランス軍を描いた珍しい一作。フランス軍主体なのにみんな英語なところは残念だが。
インドシナ戦争、ディエンビェンフーの戦いで降伏するフランス軍。フランスとベトナムの停戦協定が結ばれ捕虜も釈放される。アンソニー・クイン扮する指揮官は職を解かれるが、政治的運動で何とか返り咲き、アルジェリアで指揮を執ることに。
しかしアルジェリアも独立運動で内戦状態
フランス内部にも独立支持派がいて、作戦は障害だらけ。村人を無差別に虐殺するなど完全に泥沼。最後には反乱軍との戦いに勝利し、念願の将軍に昇進するが、独立運動は以前続く気配なまま話は終わる。
戦闘車両はジープ、トラックのみで、後は懐かしいベル、シコルスキーなどのヘリコプターが登場。
ベトナム軍もアルジェリア独立派組織も武器は様々で、ドイツのモーゼルKar98なんかも混じってたりする。
フランス軍の迷彩服(現在は使われていない)は、以前東京ファントムのレプリカがあって、私はサバゲーで愛用していたんですよ。(2008/1)
 ボー・ジェスト  Beau Geste  1966年  104分   

監督:ダグラス・ヘイズ、出演:ガイ・ストックウェル 、ダグ・マクルーア 、テリー・サヴァラス 、レスリー・ニールセン 、レオ・ゴードン

リメイク第2作目。基本内容は同じながら設定はやや変化。
ここでは二人兄弟になり、子供時代の描写はなく、入隊までの経緯は会話で説明される。また冒頭の砦でのトリック行為もシンプルでわかりやすくなり、全編砂漠と砦が舞台の戦争映画として楽しめる。
兄弟役はガイ・ストックウェル(兄)と、ダグ・マクルーア(弟)になり、G・クーパー三兄弟の味わいはかなり薄まった感じだが、その分敵役(鬼軍曹)のテリー・サヴァラスが光ってるので文句なし。
私は弟と二人兄弟なので、子供の頃この映画を見て痛く感動したものである。残念ながらDVD化されていないようである。
(2006/9)
 北西戦線  NORTH WEST FRONTIER/FLAME OVER INDIA  1959年英 114分  

監督:J・リー・トンプソン、出演:ケネス・モア、ローレン・バコール、ハーバート・ロム

1905年英国植民地時代のインドが舞台。
各地でイスラム系部族の反乱が起き、王室を倒そうと攻撃を繰り返してくる中、とにかく王子を無事にデリーへ届けようとイギリス陸軍大尉が奮闘。包囲された町からわずか二人のインド兵を従え、6才の王子と民間人数人が機関車で脱出する。軽便鉄道のような豆蒸気機関車と客車一輌。いつどこで反乱軍の襲撃があるかわからない緊迫感。ひたすら走る小さな機関車の中でドラマは進んでゆく。その的を絞った演出は古い映画ながらだれることなく最後まで続く。さながらインディアンの襲撃から逃げる幌馬車を描いた西部劇の趣きである。
大英帝国に興味のある人には、このような辺境の地での物語は少ないのでお薦め。

列車を舞台にした映画には有名な「脱走特急」や「大列車作戦」などがある。(2008/11)
  コルドラへの道 They Came to Cordura 1959年 123分 ★★★ 

監督:ロバート・ロッセン、脚本:アイヴァン・モファット 、ロバート・ロッセン、原作:グレンドン・スウォースアウト
キャスト:ゲイリー・クーパー(ソーン少佐)、リタ・ヘイワース(牧場の娘アデレイデ)、ヴァン・ヘフリン(チョーク軍曹)

メキシコ内戦続く1910年代。鎮圧のためアメリカ軍は反乱軍との戦いを各地で繰り広げていた。
遠征軍のソーン少佐は戦いで英雄的行為をした部下を名誉賞に推薦するため、後方のコルドラ基地に帰すことにした。また反乱軍に加担した疑いの牧場の娘アデレイデの護送も兼ね7人の一行は出発する。ところが途中反乱軍の襲撃を受け馬を失い、食料や水も底をつき疲労はピークに。一方ソーン少佐には過去に汚点があり、それを知った部下たちは疑問を抱きだす。部下たちの造反と過酷な状況の中、基地への道のりはサバイバルレースの様相を帯びてゆく…。

舞台設定は西部劇そのものなのだが、アメリカ軍は騎兵隊とはいえおなじみの青服ではなくカーキ色。腰のピストルは(リボルバーではなく)コルト45!会話の中では「ヨーロッパは戦火にまみれている(WW1のこと)」と語られ、この大西部の風景が妙に新鮮。前半に反乱軍との決戦が描かれるが、その後はひたすら人間の内面の葛藤と体力の限界が試される展開。常に正義の人を演じてきたG・クーパーだが、ここでは見ている私たちも「本当の目的は何?」と疑い始め結末がまったくわからなくなる。ラストは感動がもうひとつ足りないのが残念だが、珍しい時期を扱ったマニア向けの一作。 (2015/8)
 女狙撃兵マリュートカ 1956年ソ 

監督:グレゴリー・チュフライ、出演:イゾリダ・イズビツカヤ、オレーグ・ストリジェノフ

ロシア革命で第1次世界大戦を脱落したあともロシアは内戦が続いた。
この物語はその赤軍(農民中心)白軍(貴族中心)の内戦下のロシア、それも珍しい砂漠地帯、アラル海近辺が舞台。らくだの商隊、カザフ民族なども登場する。
戦闘は冒頭のライフル(モシン・ナガンM19/30)による銃撃戦のみだけだが、ロシア内戦を扱った映画自体非常に珍しく、当時の両軍の服装などは興味深い。捕虜になった白軍将校と赤軍女狙撃兵が二人だけ遭難し、やがて恋に落ちるのが物語の肝。粗野な女兵士が美しい女性に変わってゆく。しかしイデオロギー、出身階層の違いが生んだ戦争だけに簡単に心は一つになれず、愛し合うゆえに苦しむ二人。
今あらためて50年代のソビエト映画を見るのもなかなかおつなもの。大量生産されたつまらない60〜70年代のアメリカ映画なんかよりよっぽどシュールで面白い。ソビエト映画にしては暗さや説教臭さも少なくて見やすかったです。

 誰が為に鐘は鳴る FOR WHOM THE BELL TOLLS 1943年 130分 

監督:サム・ウッド、出演:ゲイリー・クーパー、イングリッド・バーグマン、エイキム・タミロフ

共和国人民戦線軍に義勇兵として参加したアメリカ人ロバート(G・クーパー)。若いスペイン女性戦士(バーグマン)は彼に一目ぼれ。山中に拠点を置いて抵抗を続ける過酷な毎日だが、恋を知った幸せで充実した気分に包まれる。戦いが済んだら一緒にアメリカへ行こうと約束するのだが…。

というわけで恋する女性バーグマンの魅力を全面に描き、結末も実にベタな戦争ロマン古典大作。そもそもなぜアメリカ人が参加したかというと「ファシズムから民主主義を守るため」というセリフも1942年製作なので仕方ないところ。スペイン内乱の映画は珍しいのだが、もちろん話し言葉はすべて英語。しかもみな民兵なので私服。それでほとんど山中が舞台だがら、前半は普通の西部劇みたいでやや退屈。
スペイン内乱の背景は実際はかなり複雑だが、ここで描かれるのはいわば民兵によるゲリラ戦のみ。各国から支援があったことを反映させたのか、銃や手榴弾も種々雑多なのはおもしろい。後半になって空爆シーンが出てきてやや興味を持ち直したところで、最後はフランコ軍の戦車が登場する。これが米軽戦車のM1(砲塔は機関銃2丁のみ)とM3(M2の発展型)にフランスのルノーFK。撮影用に応急処置施したような頼りない箇所もあるけど、なかなか軽快な走りを見せてくれる。とにかく他の映画ではお目にかかれないので、ここは見どころ。(史実ではルノーFKは人民戦線側のようだが)
(2012/3)

 ボー・ジェスト  
Beau Geste  1939年  モノクロ102分    

監督:W・A・ウェルマン、出演:ゲイリー・クーパー 、レイ・ミランド 、ロバート・プレストン 、スーザン・ヘイワード

男女の愛は月のように満ち欠けするが、兄弟の愛は星の輝きのごとく不変である。〜アラブのことわざ
男女のラブロマンスではなく兄弟愛をテーマに、フランス外人部隊を一躍有名にした古典の名作。元外人部隊だったパーシバル・クリストファー・レンの小説が1924年に発表され有名になり、すぐ2年後に映画化(無声映画)された。そのリメイク作がこの映画である。

養子として幸福な子供時代を送る三兄弟。青年になってから養母の経済的ピンチを救うべく、兄は泥棒の汚名をかぶり姿を消す。その先が外人部隊であり、弟二人も兄を慕い入隊する。というわけで前半はほのぼのとした少年時代、そして後半はリアルな軍隊生活と砂漠での緊迫した戦闘シーンが描かれる。冒頭の砦での謎のトリック行為がこの映画の売りの一つ(最後に謎解きがある)だが、ちょっとひねり過ぎの感は否めない。また兄の行動で何故養母が救われるのかもわかりずらいかもしれない。一人で充分主役をはれるゲイリー・クーパー 、レイ・ミランド 、ロバート・プレストンが三兄弟。そして紅一点が若き日のスーザン・ヘイワード。古きよき時代の美男美女勢ぞろい。戦争映画ながらゆったりとした時間に浸りたい時におすすめ作品。(2006/9)

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