ベトナム戦争 (〜’80年代作品)

 グッドモーニング,ベトナム  GOOD MORNING, VIETNAM  1987年  120分    

監督:バリー・レヴィンソン、キャスト:ロビン・ウィリアムズ、フォレスト・ウィッテカー、チンタラー・スカパット

サイゴンの米軍基地内のラジオ局に赴任してきたDJを通して、ベトナムの現状、兵士達の日常を描いた異色のベトナム戦映画。マシンガンのような早口で、下品でブラックなジョークをとばしまくり兵士達の絶大な支持を勝ち取る主人公だが、お堅い上官とは馬が合わず、現地の人々との壁を壊すこともできず、現実を前に無力感に襲われる…。

戦闘シーンのないベトナム戦映画。ひたすらアメリカの政策をジョークでこけ落とすだけの話かと思ったが、そうではなく意外な展開をも見せる。主人公は至って陽気な性格で、現地の人たちとも交流を楽しもうとする。女性を口説こうとしてシビアな現実を知らされる。友達と思った人間が破壊工作に加担していた…などなど、ちょっと広げすぎた嫌いはなかったか。転任が決まり淋しさをあとに物語は終るが、ベトナム人の本当の辛さ、戦地へ向かう兵士達の心境などはさらっと表面的なものだけだ。非戦闘員の主人公を通して描かれるのでしかたないのだが、重々しさや暗さ、狂気や無力感なども今ひとつで、物足りなさは残る。

だがそれは何より見ている自分が日本人だから、ジョーク満載のマシンガントークをストレートに楽しめないからじゃないか。字幕で意味がわかってもしょうがないのだ。やはりネイティブなみに英語が理解できこそ、この映画が楽しめるのだと思う。戦闘シーンはないが、トラックやジープ、基地の周りを飛び回るヘリ、河川哨戒艇など、ただそこにいるだけの贅沢すぎるわき役を見ることはできる。  (2011/10)
 プラトーン Platoon 1986米 2時間  ★★★
監督:オリバー・ストーン、出演:チャーリー・シーン、ウィリアム・デフォー、トム・べレンジャー

「プラトーン」とは「小隊」のこと。つまり「ある小隊での物語り」とも言うべき映画。
敵は正規軍の他に村人に紛れ込んだゲリラ、見えない敵。恐怖と混乱の中で自分たちの中にも敵対する感情が生まれ、泥沼の状況になってゆく。
主人公はあくまでチャーリー・シーンだが、どちらかというと狂言回しのような役で、ここではウィリアム・デフォーとトム・べレンジャーががっぷりよつに組んでドラマを見せてくれる。

DVDの特典では軍事アドバイザー!の
ディル・ダイの全編解説がつく。この人、最近の戦争映画には必ず上級将校役で出てくる(S・セガールの沈黙シリーズにも!)ので、これしかできないのかな…なんて思ってたら元海兵隊員で、ベトナムにも行ってるという本物の軍人であった。お見それいたしました。(2006/8)
(右)サントラ
 7月4日に生れて  Born On The Fourth Of July  1989米 2時間24分  ★★

監督:オリバー・ストーン、出演:トム・クルーズ、ウィリアム・デフォー、キーラ・セドウィック

経済的にも恵まれ、信仰心の厚い愛情に満ちた家庭で何一つ不自由なく育った主人公。愛国心から迷いなく海兵隊に志願するが、下半身不随の身となって帰ってくる。
戦闘シーンは悲惨だが短い。病身での戦場と大して変わらないひどい生活があって、その後の傷病帰還兵としての日常が本編である。戦場はもちろん、帰ってきた故郷や家庭にも救いはなく、メキシコへと流れてゆく主人公。
アメリカ人のためのベトナム映画とはいえ、どん底に落ちてゆく人間が混乱しながらも立ち直ろうとする姿は壮絶。メキシコの荒野でいよいよ行き詰ったところを、もう少し描いてほしかったが…。
なお戦闘シーンでは、アメリカ兵が
M16でなくM14を使用しているとこがちょっと新鮮。脇役には、トム・べレンジャー、ウィリアム・デフォー、トム・サイズモア、デイル・ダイなど、戦争ものファンには嬉しい役者が勢ぞろいです。(2006/8)
 キリング・フィールド  The Killing Fields  1984年英 2時間20分  ★★

監督:ローランド・ジョフィ、出演:サム・ウォーターストーン、ハイン・S.ニョール

これはベトナム戦争後の
カンボジア内戦が舞台。ベトナムの飛び火で始まったような内戦だが、様々な勢力が争いベトナムよりさらに混迷した情勢に。そこへ向かったアメリカ人ジャーナリスト、サム。しかしむしろ物語の主人公は、その通訳として登場するカンボジア人、プラン。サムはアメリカ人ゆえに国外脱出に成功するが、その後文字通り首の皮一枚のところで地獄を生き抜いてゆくカンボジア人、プラン。
実話に基づいた映画だが、プラン役のハイン・S.ニョールは、プノンペンで医師をしていた時ベトナム軍がカンボジアに侵攻、親兄弟すべてを失いながらタイへ決死の脱出を行ったという経験の持ち主だそうだ、びっくり。ラストシーンの
「イマジン」がちょっと?(2006/9)
 DVDないみたい  地獄からの生還・プラトーン・リーダー PLATOON READER 1988米 97分  ★★ 

監督:アーロン・ノリス、出演:マイケル・ダディコフ、ロバート・F・ライオンズ、W・スミス

原題はパクリ風、邦題はB級、大スターも出ていない…というわけでレンタルビデオ屋で誰も手にしなかっただろうと思われるが、内容はなかなか良心的な一作。
普通は軍曹か二等兵あたりが主人公で、士官学校上がりのだめ小隊長に苦労するというのが多いが、この映画はその小隊長(少尉)が主人公。
くそまじめに教本に従い、米軍の任務の正当性を信じ、部下からばかにされながらも任務を遂行してゆく。しかし矛盾した現実に悩みながらも現場での行動を通して、部下と心を通わせ信頼を得てゆくというストーリー。
戦闘シーンは悪くはないが派手さに欠けるし、さほど残酷な場面もない。部下の軍曹との友情を淡々と描き、見たあとはむしろ爽やかな珍しいナム戦映画。(2006/10)
 地獄の軍団スクワッド  THE SIEGE OF FIREBASE GLORIA 1988米 99分 ★★★  

監督:ブライアン・トレンチャード、 出演:R・リー・アーメイ、ウィングス・ハウザー

これ程ひどい邦題はなかろうという邦題。
「スクワッド」って何なんだかしばらくわからなかったが何のことはない「SQUAD(分隊)」つまり「地獄の軍団・分隊」ってタイトル!しかし原題は「グロリアと呼ばれる陣地(火力拠点)の包囲戦」というまじめな戦争映画。最初に訪れた村はべトコンに襲われた後で、子供の死体の山を発見した兵士がゲロを吐くというシーンで「こいつはちょっと凄そう…」な予感。
分隊の指揮官役は
R・リーアーメイ(「フルメタルジャケット」教官!)で、実際この人海兵隊で教官やってたそうで、説教調演説型命令も健在。狙撃兵だけがM14使用というのもにくい。陣地に到着してからはまさしく「砦戦」の醍醐味。繰り返される攻撃、増える犠牲者、なかなか来ない援軍。ベトナム軍の描写も多く、互いに辛い戦いを戦い抜こうとする様が描かれる。
ぜひ邦題を改めて、DVDで発売してほしい一作。(2006/10)

←ビデオです。
 フルメタルジャケット Full Metal Jacket 1987年米 116分  ★★★  

監督:スタンリー・キューブリック、出演:マシュー・モディーン、アダム・ボールドウィン、ヴィンセント・ドノフリオ、R・リー・アーメイ
ベトナム戦もキューブリックが描くとやはり一味違う。
前半は新兵を殺人マシーンに作り上げるまでの軍事訓練の毎日。耐え切れなくなった新兵の一人が自滅する場面から、唐突にベトナムへ。さらにユニークなのは、ジャングルや泥まみれの湿地帯などは出ず市街戦中心。(やしの木を空輸してイギリスで撮影したとか…)
どんな状況においても冷徹に突き進む海兵隊。他の映画のように兵士は、泣いたり悩んだり、戦意喪失したり精神に異常をきたしたりしない。最後にはミッキーマウスの主題歌を歌いながら前進して行くというラストシーン。これぞ殺人マシーンということで、前半のエピソードが完結する。
なお前半の教官役はR・リーアーメイで、実際この人海兵隊で教官やってたらしい。説教調演説型命令は「地獄の軍団スクワッド」や「沈黙の要塞(S・セガール沈黙シリーズ、
デイル・ダイも出てる!)」でも見ることができる。
実戦では
M16だが訓練ではM14を使用。ヘリコプターはベル・イロコイスではなくシコルスキー。戦車はM48じゃなくM41というのも違う味わいを加味してる。
サウンドトラックは60年代のヒット曲が使われていて、最後にストーンズの「黒く塗れ」ってのがどうも…。(2006/10)
 カジュアリティーズ Cassualties 1989年米 114分 ★★

監督:ブライアン・デ・パルマ、出演:マイケル・J・フォックス、ショーン・ペン、ドン・ハーヴェイ、ジョン・C・ライリー、ジョン・レグイザモ 

広域偵察任務の小部隊がベトナムの村で娘を拉致し、途中レイプしたあげく射殺する。
主人公は一人反対するが、孤立無援で止める事ができなかった。良心の呵責から本隊に戻って上官に報告するがもみ消されてしまう。しかし告訴に踏み切り、かかわったメンバーは裁判で懲役刑となる。本国アメリカに帰ったあとも、娘に似た女性(おそらく一人二役)を見て動揺してしまう主人公。
ベトナムでの非人間的行為は他の映画でも描かれているが、ここでは娘がボロボロになったあげく殺されるさまがあまりにも非情。レイプを指揮するのがS・ペン。報告を受けても無視する上官に
デイル・ダイ!(2006/10)


 ディア・ハンター  The Deer Hunter 1978米 3時間2分  ★★★

監督:マイケル・チミノ、出演:ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サベージ、メリル・ストリープ

普通ベトナム戦争ものというと、戦場で兵士たちが「俺の故郷はひでぇとこだよ…」なんて会話で済ますのだがこの映画では、初めに生れ故郷での平凡な日常生活が延々と(1時間半くらい)映し出される。
長いなぁー、と感じ始めたあたりで突然地獄のようなベトナムへと見ているものは放り込まれる。戦争の描写自体は少ないが、平凡な日常の光景がたっぷり刷り込まれてるだけに、ズシーンと効いてくる。この映画で一躍有名なった、
ロシアン・ルーレット
なお公開当時、ベトナム人の描写が余りにひどいということで、アメリカではベトナム人のデモがあった覚えがある。
(2006/8)



 戦場  Go Tell The Spartans  1977米  114分  ★★

監督:テッド・ポスト、出演:バート・ランカスター、クレイグ・ワッソン、ジョナサン・ゴールドスミス、クライド草津

これは意外な掘り出し物。地味な印象でストーリーは進んでゆくが、大スターB・ランカスター主役だけあって見ごたえあり。ベトナム戦ごく初期を扱った珍しい映画である。

米軍は軍事顧問団として南ベトナム政府を支援するという立場で描かれている。携帯火器がおなじみの
M-16、M-60コンビでなく、M1カービンやM1トンプソンマシンガンなどの前大戦型。無線もモールス通信という情けなさ。
特に反戦映画風でもないのに、勝利も栄光もないラストの幕切れには意表をつかれる。(2007/7)




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