西部戦線 (’70〜’90年代作品) WWU Western front



 プライベート・ライアン Saving Private Ryan 1998米 2時間50分  ★★★ 

監督:S・スピルバーグ、出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、マット・デイモン、エドワード・バーンズ
久々の第二次大戦ヨーロッパ戦線もの、久々のDディ上陸作戦の映画化。リアル系戦争映画の手本となるであろう傑作。

若い人も観ただろうけど、やはり「コンバット」世代の絶大な支持があったんじゃないか?主人公はM1トンプソンマシンガンでその副官はM1カービン。口数の多いとんがった奴がBAR担当で、のっぽの大男にちょっと神経質なユダヤ系もいる。これ「コンバット」ではそのままサンダース、ヘンリー、カービーにリトルジョン、ケーリー(フランス系)。トム・ハンクス以外にスターを起用しなかったところもうまかった。
T-34改造のタイガーは迫力ものだが、実際にアメリカ軍を相手にしたのはX号パンサーか、W号戦車だったろうと思う。だからタイガーでなくパンサーだったらよかったが…マニアックすぎか?
他にマーダーVケッテンクラートなんかの脇役もいかす。上陸時に兵士が使用しているアサルト・ベストも映画初登場(のはず)。Dデイ直前にいきなり配給され、あまり使い心地がよくないためその後はほとんど使われなかったという希少品だが、映画のためにわざわざ作ったそうです。脱帽。これから戦争映画はかなりリアルに作らないと、お呼びでなくなるんだろうなぁ…。

(2006.8)

 プライベート・ソルジャー  When Trumpet's Fade  1998米 92分    

監督:ジョン・アーヴィン、出演:ロン・エルダード、ザック・オース、ティモシー・オリファント

1944年後半の西部戦線。戦線は膠着し戦略的にも無意味な作戦に倒れてゆく米軍兵士達。アメリカ軍を描いたものとしては異例なほど暗く救いのない映画。

プライベート・ライアンの成功にあやかろうという邦題はいただけないし、あまりに地味で、悲惨で、救いようのない内容のせいか劇場公開されなかった映画。だからこそ戦争映画ファンは見るべし。

マーケット・ガーデン作戦の失敗で行き詰った連合軍は、ドイツ・ベルギー国境のヒュルトゲンの森で掃討戦に入った。これは北のアーヘン攻略戦と呼応して、ライン川への道を開こうという作戦。しかし深い森林に地雷、容赦ない砲撃で犠牲者は増える一方。この映画には「陽気なアメリカ兵」は一人も出てこない。アメリカ軍を描きながら、重々しくも見ごたえのある異色作。(2006.8)

 真夜中の戦場 -クリスマスを贈ります-  A Midnight Clear 1992年劇場未公開 107分  

監督・脚本:キース・ゴードン、キャスト:アーリー・グロス、ピーター・バーグ、ケビン・ディロン、イーサン・ホーク、ゲイリー・シールズ

1944年12月、バルジ大作戦前夜のアルデンヌ。敵の攻勢がありそうなので最前線に偵察に出された一個分隊。敵と接触したため無人の館を見つけて前哨基地にし、監視を続ける。戦闘意欲のないドイツ軍の小部隊が奇妙な行動をしかけてくる…。若い新平ばかりが経験する、最前線末端の出来事を丁寧に描いた地味な作品。

これといって派手な展開はないし、俳優も地味。90年代の作品だけに一つ一つの描写はリアルでよいが、「極寒激戦地アルデンヌ」をずっと地味にしたような感じ。負けることを覚悟したドイツ軍の中にはこんな部隊もあったかと。その計画が成功するかどうかが山と言えば山だが、意外な幕引きで肩透しをくらう。しかし最後まで淡々と静かに進むのがこの映画の狙いで、60〜70年代にはなかった反戦映画ともいえる。上層部の作戦に翻弄されながらタフになって行く新平たちのリアル体験物語。
(2014/4)

 嵐の中で輝いて SHINING THROUGH 1992年 132分  

監督:デヴィッド・セルツァー、出演:マイケル・ダグラス、メラニー・グリフィス、ジョン・ギールグッド

米軍の諜報部員と恋をした女性が、自らスパイとなってドイツ占領地域に潜入する。

諜報部員の訓練も受けていないずぶの素人のアメリカ女性が、戦時下のベルリンにスパイとして乗り込む。ドイツの秘密兵器製造の情報をいかに手に入れるか。
味方と思った連絡員が敵側だったり、はらはらドキドキのシーン、スイスへ逃れる脱出場面ではスイス兵ドイツ兵の緊迫の銃撃戦と結構盛りだくさん。(2008.8)




 戦場の小さな天使たち HOPE AND GLORY  114分 イギリス1988    

監督:ジョン・ブアマン、音楽:ピーター・マーティン、出演:サラ・マイルズ、セバスチャン・ライス・エドワーズ、デヴィッド・ヘーマン、イアン・バネン、サミ・デイヴィス

英独開戦からドイツ空軍空襲下のロンドンの一家の日常を、子供の目線を通して描いたほのぼのした脱力系映画。

父親も出征してゆくが内勤の事務職であったり、娘が兵士を結婚して子供ができたり、近所に空襲があったりといろいろエピソードは入るが、特に悲惨な出来事も起こらず淡々と物語りは進む。ドイツ空軍の戦略爆撃はやはり連合軍のそれとは比較にならないものだったし、何があっても女性も子供たちも元気で前向き。阻塞気球を上げたり、しぼんで降下してきたものを市民兵士が一斉射撃で処分するシーン、撃墜され脱出したドイツパイロットが観念して一服して投降するシーンなど、
興味深い描写もあるがほんのわずか。英国の市民生活に憧れている人ならどっぷり楽しめます。  (2015/4)

 
 パットン将軍最後の日々 The Last Day of Patton 1986年 146分  

監督:デルバート・マン、出演:ジョージ・C.スコット、(パットンの妻)エバ・マリー・セイント、マレー・ハミルトン、リチャード・ダイサート

ヨーロッパでの戦闘は前作「パットン大戦車軍団」で終わっており、この映画はその後の占領政策から、交通事故で予想もしなかった死に至るまでを描いている。


戦闘シーンはまったくないので実に地味な映画ではある。しかも交通事故のあとの入院生活がけっこう長く描かれるので、暗く重々しいシーンが続きそのまま死を迎えて終わるという救いのない映画。それではあんまりだと思ったのか、パーティーで歌を披露しエンターテイナーの一面を見せたり、スコット本人が最後に登場し一言コメントして終わるという手法をとったりしている。

しかしながらこの時期のドイツ国内を描いたものは少なく、捕虜収容所のドイツ兵たちに訓示をたれる一幕など、興味深い箇所もある。だが例によって国の方針と合わず、けっきょくは閑職に追いやられる。回想シーンでは若きパットンが、実験訓練用の豆戦車(砲塔なし)を頭の固いお偉方に披露し、来る戦争での機甲部隊の必要性をアピールするシーンなども見れる。将軍パットンを崇拝する人、アメリカ軍による占領政策に興味がある人、などにのみお勧めの映画。(2012/2)
 ソルジャー・ストーリー  A SOLDIER'S STORY  1984年米  101分  ★ 

監督:ノーマン・ジュイソン、原作:チャールズ・フラー、音楽:ハービー・ハンコック、脚本:チャールズ・フラー
キャスト:ハワード・E・ロリンズ・Jr、アドルフ・シーザー、アート・エヴァンス、デンゼル・ワシントン

まだまだ人種差別の激しい1944年南部ニューオリンズの陸軍基地。嫌われ者の黒人軍曹が町外れで何者かに射殺される。ワシントンから調査に派遣されたのはエリート黒人大尉。黒人の将校を見るのは初めてというような土地柄で、周囲の偏見にじゃまされながらも事件の真相を掴む。


第2次大戦においても、なかなか実戦参加できなかった黒人兵たち。訓練と雑用のくりかえしで腐る毎日。捜査を進めるうちに、長く続く人種差別の結果生じた黒人達の中の複雑な心理的対立が見えてくる。
基地内と町の酒場くらいが主な舞台。優秀な黒人将校の登場でかき回される南部の兵士達。要所要所でブルースミュージックが流れる中、謎解きが進む。シドニー・ポアチエ主演の名作「夜の大捜査線」のミリタリー版といった趣もある、地味ながらお薦めの一作。 (2011/5)
 針の目  Eye of the Needle 1981英 1時間51分  

監督:リチャード・マーカンド、出演:ドナルド・サザーランド、ケート・ネリガン

連合軍の上陸作戦の情報をつかむため、イギリスに入りこむスパイをD・サザーランドが演じ、「鷲は舞い降りた」の続編みたいな気分になれるが、こちらはイギリス映画らしく思い切り地味な作品。

4輪装甲車対空砲をチラッとチラッと見せるとこはにくいですが、戦闘シーンはなし。作家に成りすまして居候する家の人妻と不倫関係になる。戦争がなければこんな辛い気持ちにならずに済んだのに…という大人の恋愛ドラマとスパイ映画を合体させた感じ。小説のほうがスパイものとしてはわくわくどきどきできるかも。
「パットンがカレーに上陸する」という情報を確かめるべく活動する場面で、他の映画には見られないシーンがあってにんまりできます。(2006.10)


 勝利への脱出  ESCAPE TO VICTORY/VICTORY   1980年  116分      

監督:ジョン・ヒューストン、キャスト:シルヴェスター・スタローン、マイケル・ケイン、カロル・ローレ、 ダニエル・マッセイ, ティム・ピゴット・スミス

舞台は1943年ドイツ軍の捕虜収容所。捕虜の中には有名なサッカー選手が何人もいた。それを知った同じくサッカー選手のドイツ将校は、ドイツ兵選抜チームとの試合を計画する。試合会場はパリ。連合軍選抜チームはレジスタンスと連絡を取り、試合会場からの集団脱走計画を練る。“サッカーの神様ペレ”を始め、当時の世界的有名選手が多数出演している異色の脱走&スポーツ映画。


ほとんどがイギリス人の中に主人公一人だけアメリカ人。おまけに単独で脱出するが情報だけ仕入れて収容所に逆戻り…ってまるで「大脱走」そっくり。
しかし収容所そのものから脱出じゃないところが違い、サッカーの試合会場からハーフタイムに脱出!という計画。ところがスポーツ選手集団ゆえ「最後まで戦おう!絶対逆転できる!」って力は入っちゃって試合続行!最後は予想外の展開でエンディングを迎えるが、…これで脱出成功なの?って疑問が残る幕切れ。人によっては感動できるかどうか大きな分かれ目。

前半は脱走劇仕立て、後半はスポ根ドラマ風。もちろん見所は後半なので、スリルと緻密な脱走劇は期待しないように。けっこう大味な仕上がりです。  (2012/8)
 最前線物語  The Big Red One 1980米 110分   ★★

リー・マービン、マーク・ハミル

原題「ビッグ・レッド・ワン」とは第1歩兵師団の師団マーク(でっかく赤で書かれた1)のこと。第1次大戦の生き残り、老軍曹(リー・マービン)が新兵達(スター・ウォーズのマーク・ハミルら)を率いて、激戦地を進んでゆく。


第1師団の戦った戦場、アフリカ、シシリー、ノルマンディ、ベルギー、チェコと盛りだくさんなので、ひとつひとつの戦闘はややチープ。そこに目をつぶればけっこう楽しめる。イスラエルでの撮影だそうで、イスラエル軍のTシャーマンがドイツ軍で登場。アルジェリア上陸(トーチ作戦)でのヴィシー・フランス軍とのひと悶着など、珍しい場面もある。
イタリアでは、産気づいた婦人を戦車の中でお産させるシーン!とか、悲惨さより、主人公たちの織り成す数々のドラマと、ブラックユーモアで描ききった爽やかな?作品。(2006.8)

 ナバロンの嵐  FORCE 10 FROM NAVARONE  1978年  118分 

監督:ガイ・ハミルトン、出演:ロバート・ショウ、ハリソン・フォード、エドワード・フォックス

大ヒットした「ナバロンの要塞」の二番煎じを狙った70年代的アクション娯楽戦争映画。


「ナバロンの要塞」の続編ということで冒頭に「ナバロンの要塞」の映像とナレーションが入り、そのメンバーに再度特殊任務が与えられるという設定。けっこう大スターが出ているが「ナバロンの要塞」と比べると重厚さにかけるのは仕方ないとこで「続編」として期待しないように。
パルチザン(反独)、チェトニク(親独)、ドイツ軍といろいろでてきて、スパイの騙しあいから大爆破作戦まで盛りだくさんだが、今見るとやはりちと(チトー?)辛いので、割り切って楽しめる人向き。
アブロ・ランカスターが最初に登場して、それを攻撃するMe-109は実写フィルムと「空軍大戦略」の映像。監督が同じだからね…007シリーズの大男やボンドガールも!(2008.10)
 遠すぎた橋 A Bridge Too Far 1977英仏 175分 ★★★  

ロバート・レッドフォード、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンス、ジーン・ハックマン、ライアン・オニール、ハーディー・クリューガー、ジェームズ・カーン他。

マーケットガーデン作戦を描いた超大作。

3時間近い大作のうえ、どこで何をやってるのかわからなくなってくるという物語のためか、厳しい 映画評がしばしば見られる。確かに作戦自体の予備知識がないと面白さは半減。特に英空挺隊は、師団本隊、橋を奪取する別動隊、さらに本隊からはぐれてしまった師団長一行…と3グループあるのでやっかい。
しかしマニアにとっては、大量出演の各種M4、ごちゃ混ぜの改造ドイツ車両、装備がマニアックな英空挺隊員、めったに見れないポーランド軍、まだまだ強いエリートドイツ戦闘SSなどなど、見どころ満載である。R・レッドフォードのアメリカ空挺隊員ぶり、イギリス紳士代表のA・ホプキンス、負け役ながら今は亡きドイツ人俳優H・クリューガーの正しいドイツ軍人ぶりもじっくり見てほしい。(2006.7)


 鷲は舞い降りた 1976 米英 123分  

マイケル・ケイン、ドナルド・サザーラント、ロバート・デュバル

ノルマンディ上陸前のイギリス、ドイツの特殊部隊がチャーチルを誘拐しようという完全フィクション。

ドイツ空挺隊員
ポーランド空挺隊員に化けるという設定がユニーク。ポーランド兵は二本指で敬礼するのでお見逃しなく。現地駐屯米軍指揮官の張り切り方がコミカルだったり、作戦が失敗したら、独断でやったとして責任を取らされる将校がいたり。ドイツ軍、アメリカ軍、イギリス市民(村民?)、イギリスに反感を持つドイツ系夫人やアイルランド人と、様々な人間ドラマで、気楽に楽しめる。
戦闘シーンはあっさりしているがそれなりに迫力。M1ガーラントが一丁も出てこないのが不思議。珍しい旋回砲塔つきのM3ハーフトラックが登場。ドイツ軍がとても紳士的に描かれている。また、貨車につまれたV号突撃砲E・ボート(魚雷艇)なんかもチラッと出てくる。あとは、ドイツ兵もずっと英語だし、主人公のマイケル・ケインがドイツ人に見えるかどうか…が問題…かな?

←(右)映画より小説の方が良い、との意見もあり。続編「鷲は飛び立った」も出た。

 パットン大戦車軍団  Patton 1970米 180分  ★★★
ジョージ・C・スコット、カール・マルデン

実在した将軍にスポットを当てた数少ない映画の一つ。アフリカ戦線から占領下のドイツまで見どころ満載。

戦闘シーンはアフリカ、シシリー、ヨーロッパとパットンの活躍した場所を次々と映し出す。通常映画の主人公は、二等兵やせいぜい小隊長クラスだが、この映画では師団、軍団を率いる将軍なので、前線に設置される司令部の描写を見ることができる。ドイツ軍の情報機関の仕事振りや、英軍モントゴメリーとの確執なども面白い。
M41のほか、ドイツ軍役でM48が登場。(空軍大戦略で使用した?)He111が低空で機銃掃射をしてくるなど、びっくりなシーンもあるが、全体的に迫力ある戦闘場面となっている。

なおジョージ・C・スコット自身パットンにほれ込み、続編「パットン将軍最後の日々」も製作されている。(2006.7)

パットン将軍最後の日々 The Last Days Of Patton 1985 146分 CBS Fox Video
サントラは「トラ・トラ・トラ」とセットでお得。
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「史上最大の作戦」「パットン大戦車軍団」「トラトラトラ!」の3作品がセットになった、コレクション・ボックス。

最初の二つはいいとして、ここに「トラトラトラ!」はどうかと思うが、お得はお得なので。







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