日本映画  太平洋戦争以外

 亡国のイージス 2005年 127分    (自衛隊ファン向け)

監督:阪本順治、出演:真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一

最初の15分位見ててまるで内容が頭に入ってこなくて気がついたら大変な状況になってんだけど、みんな妙に落ち着いてて大変なことにかかわってるように思えなくて困る。
どいつもこいつも軍人とは思えないくらい女々しいしなぁ。銃を構えてからいちいち躊躇するんで結局相手に撃たれて重傷負うんだけど、それからなかかな死なないでしぶとく働く働く…これが日本人の本質か?しかし配役もうちょっと何とか…敵国指揮官役の中井貴一はどこからどう見ても日本人だし。最後にいらんとこで女が出てきて余計なセリフ吐くし。これだから日本映画食わず嫌いになっちゃうんだよ。・・・ぜんぜん解説になっとらん。(2007/3)

 戦国自衛隊1549  2005年 119分   (自衛隊ファン向け)

監督:手塚昌明、キャスト:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史

ご存知1979年封切りの「戦国自衛隊」のリメイクだが、ストーリーも大幅に変えられている。
「過去の出来事が変われば現在の人類は消滅してしまう。だから現地の人間とは可能な限り接触しないように…」という命令でのスタートだが、始まってみれば大混乱の大活劇。
歴史の辻褄合わせも最後にうまくいってることになってるのだが、どこがおかしいのかもわからないほどむちゃくちゃな感じで。SF活劇と思って硬いこと言わないで見ないとだめ。
織田信長とか斉藤道三とか豊臣秀吉こと木下籐吉郎も出てくるし、むしろ普通に歴史が好きな人が見たら楽しめるかも。
自衛隊の装備としては90式戦車軽装甲機動車82式指揮通信車87式偵察警戒車96式相輪装甲車などの実車が動き回ってくれるし、ヘリはTSI‐M‐10UH-1ヒューイAH‐1Sコブラなどが登場。自衛隊ファンはこれだけでも楽しめるかも。
ところでサイトの映画解説では“日本SF映画の金字塔「戦国自衛隊」のリメイク”なんて書かれてるので、元祖「戦国自衛隊」をもう一度見てみようかな。当時映画館で見て拍子抜けだったけど。(2009/5)
 THE GROUND 地雷撤去隊  1992年  83分  

監督:室賀厚、キャスト:江原修、諸波みなこ、J・B・ベイカー

東南アジアの某国に日本企業がホテル開発を進める。必要な道路を敷こうとしたがそこは地雷原だった。日本から派遣される技術者の到着を待てば、計画は大幅に遅れてしまう。そこで現地の刑務所で希望者を募り、減刑を条件に地雷撤去作業をさせることに。 
しかし案の定一人また一人と犠牲者が出る…。

主人公の日本人男性(江原)は、現地で結婚詐欺を繰り返す最低の男。しかし日本人女性現場管理者(諸波)とのやり取りがなかなか陳腐。金で雇われたけど死者が続出したので怖くなっただけの話なのに、無理に挫折や葛藤を描こうとして不自然。この女性管理者が、けっこう無防備で囚人たちと行動をともにしているのも変だし。地雷撤去作業というスリリングな題材だが、タイマー式の地雷に出くわした時はさっさと逃げればいいだけなのに、解除作業で無理やり緊迫感を出そうとしたりしてるし。
現場管理者も男にしてとことん男臭い作品にしたらよかったと思うけど、アメリカ映画じゃないからそうはいかんのよね。でも安っぽいラストのどんでん返しはなかなか良くて、B級感たっぷりな映画が好きな人に。
(2014/4 )
 日本海大海戦・海ゆかば 1983年 131分 

監督:舛田利雄、出演:沖田浩之、三原じゅん子、宅麻伸

主人公(沖田浩之)は海軍軍楽隊のトランペット吹き…なので演奏シーンが多い。そして娼婦の恋人(三原じゅん子)との絡みも多いのでこの二つを乗り切れるかが問題。でもこのころの三原じゅん子って結構いいね。
艦隊旗艦・三笠が出航してからはお決まりの訓練シーン、水兵同士のいさかいなどあるが、海戦が近づくまでの緊迫感が今ひとつ。
クライマックスの日本海海戦だが、両軍の艦隊戦力や戦況の推移も説明が少なくわかりづらい。
戦闘シーンの迫力は結構あるが、味方の死傷者もどんどん出るし、結果を知らない人が見たら負けてると思うかも。
最後は戦意を鼓舞するため主人公がトランペットを吹くのだが、それがまったりしたムード歌謡みたいな曲なのである。
昔見た古いほうの「日本海大海戦(1969)」の方がよかったような気がする…もう一度見直してみよう。(2008/3)

  動乱  1980年  150分  

監督:森谷司郎、出演:高倉健、吉永小百合、米倉斉加年、錦野あきら、桜田淳子

5・15事件の後の2・26事件に至るまでの軍部の動きを、中心となった将校・宮城を通して描いた80年代東映の大作。家が貧しいため売られていった女性と偶然の再会を果たし、寄り添うように生きていくが、昭和維新は失敗に終わり、宮城は国賊として壮絶な最期を遂げる。

高倉健と吉永小百合という2大スターと、そのほかにもスター多数出演で盛りだくさんの内容をあれこれ詰め込み、時にナレーションで補足しつつ激動の時代を一気に描く。それがずっとハイテンション&ハイテンポで続くならいいのだが、高倉&吉永の二人のシーンになると急にスローモーション、どっしり重厚なものに変わる、このテンポの悪さが我慢できない。一回だけあるベッドシーンも吉永小百合の顔のアップだけでごまかして、アイドル映画か。

満州国境地帯での戦闘シーンもお粗末。わざわざ陣地から飛び出して倒れてゆく…まるで「コンバット」のドイツ兵みたい。最後に反乱軍鎮圧場面も、建物を塀越しに包囲するだけ。八九式中戦車もちょっと横から顔を出す程度。銃殺シーンはまず額に一発くらってそれでも死なず正面をにらみ返し、さらに腹にもう一発くらって絶命っておかしいよ。どうしてこういうことが日本映画では普通なのか、理解できず。
高倉健、吉永小百合のファンには必見&絶賛映画かもしれないが、ファンじゃない人には見るべきところなし。2時間半長すぎ。(2012/4)
 二百三高地  1980年 181分  

監督:舛田利雄、スタッフ:仲代達矢、あおい輝彦、新沼謙治、丹波哲郎

超大作…と言っていいだろう。ロシアの要塞も日本軍の砲台も、重量感には欠けるもののずいぶんがんばって作っている。戦闘シーンは火薬の問題でどうしても欧米映画の迫力はないが、それもガマン。日露両軍の兵士も大量出演。また明治天皇をはじめ、歴史上の重要人物多数登場。しかし、あれもこれも詰め込みすぎた日本映画の典型とも言える。

特に後半、繰り返し総攻撃が失敗する最中に日本国内に残された女子供の描写はあいかわらず。途中でさだまさしの歌がたっぷり入るのもまいる。(劇場では休憩を入れたのかな?)
だが仲代演ずる乃木と丹波演ずる児玉の両大将のやり取り、そして乃木が「少佐まではよかったが、軍を率いる司令官としては凡庸」と自らを評し、終始困惑の表情で指揮を執る描写が見もの。この二人にテーマを絞っていたら、渋いいい作品になっていたと思うが。(2008/11)


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