地中海・イタリア戦線

 コレリ大尉のマンドリン CAPTAIN CORELLI'S MANDOLIN  2001米 123分  

監督:ジョン・マッデン、出演:ニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス、ジョン・ハート

部隊はギリシャの孤島。平和な島へイタリア軍参戦のニュース。ヒロインの婚約者は従軍する。イタリア軍敗走のニュースもつかの間、ドイツの加勢でギリシャはあっさり降伏。負けたはずのイタリア軍が占領軍としてやって来る。そこでマンドリンを抱えたN・ケイジ扮するイタリア軍大尉とギリシャ娘のヒロインは恋に落ちる。そこへ婚約者帰還。

<ネタバレ>

もうべたべたの三角関係メロドラマか…と思いきや、ラスト近くで急展開。武装解除を強制するドイツ軍との間で戦闘開始!
しかし圧倒的強さのドイツ軍。陽気で音楽を愛するイタリア兵がばたばたと殺されていく。戦闘シーンは短いが、75pPak40搭載のハーフトラックへッツァーがさりげなく登場。(CGだろうけど)低空で飛来するスツゥーカのかっこよさ!もちろんイタリア軍の装備、カルカノカービン銃ベレッタSMGなど小物も楽しめる。
イタリア軍降伏時のドイツ軍の対応を描いた映画も少ないので貴重。最後はまたべたな終わり方するけど、平和の素晴らしさにほっとできることはできる。(2008/1)
 ムッソリーニとお茶を  TEA WITH MUSSOLINI  米1998   

監督:フランコ・ゼフィレッリ、キャスト:ジョーン・プロウライト、シェール、ジュディ・デンチ、チャーリー・ルーカス

製作総指揮:マルコ・キメンツ、脚本:ジョン・モーティマー、フランコ・ゼフィレッリ、音楽:ステファノ・アルナルディ

第二次大戦前夜のイタリア、フィレンツェ。異国人ながら、この町を愛し生き生きと働く女性たち。しかし戦争の暗い影が近づき、外国人である彼女らの生活には次第に制限が課せられる。夫婦のいざこざで孤独を味わう子供と、彼を預かりわが子のように育てる老婦人との交流を中心に、明るく力強く希望を持って生き抜いてゆくおばちゃんたちを描いた異色の戦争映画。

<ネタバレ>

ムッソリーニも登場、独裁国家の日常も描かれるがイタリア軍はなんとなくのんびり。ドイツ占領下のフランスを舞台にした映画とはまた違う味わい。黒シャツ隊が次第に力をつけ町を闊歩し、ぴかぴかのイタリア兵が歩き回るシーンは新鮮で、イタリア軍ファンにはもちろんおすすめ。ムッソリーニがあまり似てないのが残念だが。ただドイツ軍がやって来るシーンではM4シャーマンでごまかしている。またラスト近く、連合軍が迫ってきていよいよ戦闘!となる場面ではなんと「レマゲン鉄橋」と「遠すぎた橋」の映像を丸々使用。この大メジャー映画の名場面を唖然とするほどそのままに使ってる。それにしてもイタリア戦線を舞台にしたものは、一味違う映画が多い。この作品も戦争映画としてはいまいちだが、見終わってなんとも心温まる映画だ。(2015/1)
 エーゲ海の天使  MEDITERRANEO  1991年イタリア   90分 ★★  
 
監督:ガブリエレ・サルヴァトレス、キャスト:ヴァンナ・バルバ、クラウディオ・ビガリ、ディエゴ・アバタントゥオーノ

戦略上まったく重要性のないエーゲ海の孤島へ送り込まれた落ちこぼれイタリア兵一分隊。通信機は壊れ、ドイツ兵と思った島の住人に船を焼かれ完全に孤立。戦争の蚊帳の外でいつしかギリシャ人島民とののんびりした生活に浸ってゆく。

<ネタバレ>

ムッソリーニの暴走でいきなり参戦、国民の誰も戦争なんかしたくなかったんだろうな〜そんなイタリアだからできるこんな映画。
軍曹に怒鳴られまくられた兵士が「そんなに怒鳴らないでくださいよ」と言えば「軍曹というものは世界中どこでも怒鳴るもんなんだ!」、見張りが漁船を発見。トルコ船籍らしいですと報告すると「トルコは味方?」と上官に質問する下士官〜随所にゆるいギャグ満載。ラストは意外な悲劇が待っているかと思いきや、これまた予想を裏切る脱力感たっぷりの流れで。
ラストに出るメッセージ「今、逃亡中のすべての人にささげる」が泣ける。仕事もなく家族もない孤独な人、この映画見て「今自分は人生の休暇中なんだ」って思えば救われるよ。そんないかしたイタリア映画。これもDVDでの発売を切に望む。 (2010/11)  <VHS>
 キャッチ22  CATCH-22  1970年  120分  ★  

監督:マイク・ニコルズ、キャスト:アラン・アーキン、マーティン・バルサム、リチャード・ベンジャミン

地中海のどこかの島の米空軍基地。司令官が自分の成績アップのため爆撃任務をどんどん増やし、それにうんざりした主人公は、故意に異常行動をとり病気除隊を狙うのだが、まわりの人間も本来の任務そっちのけで、すべて異常。その異常さで戦争の狂気を描いたアメリカならではのブラックユーモア映画。


<ネタバレ>

小説はベストセラーだったようだが、今この映画にはまる人はいるのか…?
1970年の古い映画だからというわけではなく、そのテンポ、セリフ、ブラックな(?)ユーモア…どうもいまいちパンチに欠けて思いっきり笑える感じでもない。大物俳優はぞろぞろ出てくるし、多数登場するB25 の飛行シーンも見事でまさにアメリカ映画のすごさを見せつけるんだけど、イタリア地中海戦線というのはいつも良い天気だし、海はきれいだし、イタリア人はのんきだし、こういう普通じゃない映画には格好の舞台なんだろうか。シビアな戦闘シーンのない風変わりな戦争映画が好き!という人がいたら見てみて。
(2013/11)

 要塞  THE HORNET'S NEST  1970年米  109分

監督: フィル・カールソン、出演:ロック・ハドソン、シルヴァ・コシナ、セルジオ・ファントーニ

1944年イタリア戦線。パルチザンと協力して破壊工作任務をすべく米空挺隊の小部隊が降下。
しかしことごとくドイツ軍は作戦を察知し、空挺隊もパルチザンもほぼ壊滅。親を殺された子供達と一人生き残ったアメリカ兵が、ドイツ軍相手に戦いを挑む…。



<ネタバレ>
ドイツ正規軍相手に、何の訓練も受けていない子供達に何ができるかって思ったら見れません。
音楽がエンリオ・モリコーネなせいか何となくマカロニ・コンバット風。主人公のロック・ハドソンもなぜか口ひげはやして、アメリカ空挺隊員に見えないのが辛いです。ドイツ兵もイタリアの子供も英語をしゃべります。レプリカのキューベルワーゲンのできが特にひどいです。
でもシルヴァ・コシナが美人で可愛くて意味なく乱暴されてシャツはだけて出ずっぱりなので、何となく最後まで見てしまいました。(2008/11)
 アンツィオ大作戦  ANZIO!/THE BATTLE FOR ANZIO  1968年米・伊・仏・西 112分  

監督:エドワード・ドミトリク、出演:ロバート・ミッチャム、ロバート・ライアン、ピーター・フォーク、ウォルフガング・プライス

シシリーを落とし北上する連合軍が、強力なグスタフラインで足止めを食ったため、打開策として行なわれたアンツィオ上陸作戦。上陸はほぼ無抵抗で成功するが、指揮
官の慎重作が裏目に出てドイツ軍は体制を整え反撃開始。一時連合軍は海岸まで押し返されそうなピンチにあったが、物量で押し返しローマへの道を開く。



<ネタバレ>
映画もその状況を再現してはいるが、大掛かりな戦闘シーンはあっという間に終わり、孤立した米軍の少人数が味方戦線へたどり着くまでの話がメイン。両軍のエキストラ兵士も装備も充分、戦車・ドラック・ジープなども大量に使用、俳優も文句なし…なのに戦闘シーンが少ない上にテンポが悪い。なんとも惜しい映画である。
M24M47M48が米独両軍役で登場。ドイツ軍の時はカモフラージュでわかりにくくしている。戦車揚陸艇も登場。ラストのローマ入場シーンで珍しい米4輪装甲車・M6スタッグハウンドがチラッと見れる。
 ナバロンの要塞 THE GUNS OF NAVARONE   1961年   160分  ★★★  

監督:J・リー・トンプソン、キャスト:グレゴリー・ペック、デヴィッド・ニーヴン、アンソニー・クイン、イレーネ・パパス、スタンリー・ベイカー、ジェームス・ダーレン

1943年地中海戦域。トルコ沖のギリシャ領ケロス島。ドイル軍の侵攻でイギリス兵2000名が孤立。救出に向かう船団を阻むのは、ナバロン島にある二門の巨大砲。絶壁の洞窟に位置し空爆では不可能。そこで爆破活動のスペシャリストたちが潜入して、決死の破壊作戦を行う。世界的大スターを贅沢に配した、戦争スペクタクル娯楽大作。

<ネタバレ>

久しぶりにこの超大作をじっくり見たが、これがなんと1961年の作品だったことにあらためて驚き。モノクロの「史上最大の作戦」の前年である。ストーリー、演出、戦闘シーンどれをとってもこの時代にこれだけのものを作ってしまう凄さ。一人で主役をはれる大スターが何人も登場する映画ゆえ、気合の入れようが違うとはこのことか。ドイツ軍はやられ役だが、さほどあっけなくばたばたやられることもなく、メンバーも一人二人と犠牲者を出してゆくところもよし。裏切り者のあまりにも悲しく、非情な最期もよし。
登場メカはM3スカウトカーM8グレイハウンドM24などアメリカ製だが、ギリシャ軍全面協力ということなのでギリシャ軍の当時の装備か。カタリナ飛行艇の優雅な飛行シーンもある。空爆シーンで襲いかかるスツーカはおそらくミニチュアだろうが、なかなかいい出来。嵐で船が難破する場面も、もちろんCGなしの時代なのに凄い迫力。
ズールー戦争」のS・ベイカーも「ワイルド・ギース」のリチャード・ハリスもあまりに若くてすぐにわからなかった。TVドラマ「タイムトンネル」のトニーでおなじみのJ・ダーレンは、他の映画ではなかなかお目にかかれないので嬉しい。(2012/6)
 マルタ島攻防戦 MALT STORY  1955年英 モノクロ103分   アーサーランク・ベストコレクション

出演: アレックス・ギネス, ジャック・ホーキンス, アンソニー・スティール, ミュリエル・バブロウ
監督: ブライアン・デスモント・ハースト

地中海の小さな島マルタ。この島を占領できれば、ロンメルのアフリカ軍団への補給が楽になったはずだが、イギリス軍は守り抜いた。マルタ島の戦いそのものを描いた映画はこれしかないので貴重。

<ネタバレ>

実機として飛び回るのはスピットファイアくらいだが、地中海の港町をバックに低空で編隊飛行するシーンは実に美しい。ニュースフィルムとはいえJu-87Ju-88、イタリアのSM79など迫力の映像は捨てがたい。遠景だが空母から飛び立つスピットという珍しいシーンも見れる。またボー・ファイターブレ二ムアルバコアなどなどマニアックな映像もチラチラあるので、RAFファンはチェックの楽しみあり。
英軍パイロットと島の娘のロマンスという古い映画にありがちなまったり部分は少々疲れるが、あっさりハッピーエンドにならないところもイギリス映画。また現在は独立国のマルタだが、当時は英国領。マルタ人の中には祖国マルタのためを思い、ドイツのスパイになった者もいるという、シビアなドラマも描かれている。 (2009/7)

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