18世紀以前の戦い

 300 <スリーハンドレッド>  300 2007年 117分     

監督:ザック・スナイダー、製作総指揮:フランク・ミラー、デボラ・スナイダー、クレイグ・J・フローレス他
キャスト:ジェラルド・バトラー(レオニダス)、レナ・ヘディ(王妃ゴルゴ)、デヴィッド・ウェンハム(ディリオス)、ドミニク・ウェスト(セロン)

紀元前480年前後のペルシャ戦争をCGたっぷり使って描いた壮大な映画。
大国ペルシャのギリシャ遠征はスパルタとアテネの連合軍に阻まれ、後にギリシャ諸都市はペルシャからの支配から脱した。この映画はわずか300名のスパルタの精鋭軍が初戦で果敢に戦った様子を伝説的に描き、それがギリシャの勝利にいかに貢献したかと締めくくる形になっている。何百隻もの艦隊同士の激突がメインだが、これもCG技術の進歩がなせる技。全体的な映像処理もモノクロ風になされ他の映画を一線を画すものになっている。
何しろ古い時代の話なのでこんなに筋肉隆々とした人間がいたのか、戦闘はこんなに迫力あったのかと疑いだすときりないので割り切って楽しめる人向け。


<ネタバレ>
迫力の戦闘シーンも繰り返し見ているうちにCGの不自然さからかややあきてくるし、常にグリーンがかった映像もやや疲れる。剣で切りあうと血しぶきがスローモーションで飛び散るCG処理も劇画みたい。CGなんかなかった昔の大作(例えば「ベンハー」)の方が迫力あるけど、それは金がかかりすぎるからもはや見られないのかと思うと寂しくもなってくる。あとこういう映画見ていて最近思うんだけど、アメリカ映画だからみんな英語しゃべてるけどほんとは違ったわけだよね。ギリシャとかローマとかペルシャなんだから。当時の言葉そのままの映画が見れたらずいぶん雰囲気変わって面白そう。 (2020/3)
 トロイ  TROY  2004年  163分  ★★★

監督:ウォルフガング・ペーターゼン、出演:ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム

紀元前(推定)1250年頃!のトロイ戦争である。ギリシャ軍トロイ軍トロイの木馬のあのトロイ戦争である。トロイの王子がギリシャの美人王女と恋仲になりトロイに連れ帰る。怒ったギリシャの王は大軍を率いてトロイを攻める…というこの戦い自体は、叙事詩イリアス」と「オデッセイア」で伝説的に語られたもので、映画に描かれているとおりの事実があったわけではないのだが、それをふまえた上で古代大活劇叙事詩として楽しみたい。

CGを多用してるんだろうが、大船団のド迫力。そして大歩兵軍団の激突とものすごい映像の数々。剣と矛、弓と槍の戦いである。それ以外にも太古の戦いならでわの武器も登場。長い映画だが、一騎打ちも含む戦闘シーンがいくつもあるので退屈はしないだろう。 (2009/5)

  タイムライン TIMELINE  2003年 116分 

監督:リチャード・ドナー、出演:ポール・ウォーカー、フランシス・オコナー、ジェラルド・バトラー、ニール・マクドノー(バンドオブ・ブラザース、父親達の星条旗)

考古学者がタイムマシンで600年前の世界へ行き、研究対象と対面する。命を奪われそうになり、ピンチの連続…。

タイムマシンなんてありえない、ばかばかしいと思う人にはとても見てられない映画である。しかしSFファンにとっては、現代人が過去に関わった結果をどう辻褄あわせるかが興味のポイント。今回はスリリングに、しかし最後はロマンチックにまとめている。
そのたどり着いた過去というのは1350年代のフランス。百年戦争の真っ只中。フランス本土に上陸し城を築いたイギリス軍と、追い出そうとするフランス軍。最後のほうは主人公たちを巻き込んでアクション・スペクタクル大冒険活劇風になっちゃってリアリティには程遠いけど、投石機や長弓での打ち合いなど見どころはあり。ただし血湧き肉踊る戦闘シーンは正味20分くらいかな。  (2011/10)
 パトリオット The Patriot 2000米 164分    

監督:ローランド・エメリッヒ、出演:メル・ギブソン、ヒース・レジャー、ジョエリー・リチャードソン、クリス・クーパー

非常に珍しいアメリカ独立戦争を描いた大作。ここではイギリス軍がまるでナチスのような残虐ぶりを見せる。
待ち伏せゲリラ戦から歴史に残るカウペンズの戦い。最後やヨークタウンでの降伏まで見れて大満足。
家庭ではよきパパ、戦場では無敵の戦士ってM・ギブソンのキャラクターに新鮮味は無いが、同じだから逆に安心して見れるのかも。
アメリカ人を喜ばせる要素満載で、アメリカ嫌いの人には鼻につく作品まちがいなし。(2008/3)



 ブレイブハート BRAVEHEART 1995米 177分  

監督:メル・ギブソン、出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マクグーハン

13世紀のイギリス。現在の連合王国の一員をなすスコットランドが、イングランドとの戦いから勝利を勝ち取る戦いを描く。
その実在した伝説的英雄ウィエリアム・ウォレスをメル・ギブソンが演じる。

戦闘シーンは大小随所にある。蛮族の様な荒っぽいいでたちに、彼らの象徴であるキルトを身にまとったスコットランド戦士。対してガチガチの鎧で身を固めたイングランド兵。砦の戦いや攻城戦、大軍同士の平地での激突など、弓、槍、剣と肉体のぶつかり合い、中世ヨーロッパの戦いを存分に味わえる。
後半は伝説の男となったウィエリアム・ウォレスの物語がややくどいが、スコットランド地方独特の音楽に、英国北部の自然が美しい。アイドルだったソフィー・マルソーがなかなかいい女ぶり、スターウォーズのレイア姫みたい。メル・ギブソンは美人に弱いどこにでもいる平凡な男。だが戦場では無敵の戦士、というイメージはここでも健在だが、「パトリオット」や「ワンス・アンド・フォーエバー」と同じキャラクターで新鮮味ないといえばないです。  (2010/12)
 バリー・リンドン BARRY LYNDON 1975  185分  ★★ 

監督:スタンリー・キューブリック、製作:スタンリー・キューブリック、キャスト:ライアン・オニール、マリサ・ベレンソン、パトリック・マギー、ハーディ・クリューガー

18世紀のヨーロッパ貴族社会の風俗、習慣などをリアルに描いたキューブリックの名作。同時代を描いた他の映画と比べても徹底したリアリズムを感じることができる。
室内照明も、当時のままろうそくだけで撮影するなどのこだわりが話題にもなった。主人公のバリーが成り上げってゆく様がメインストーリーだが、かといって巧みに策を弄する面白さではなく、どこにもいる平凡な一人の男として描かれその末路もみじめなものである。さしてドラマチックな展開もない3時間を、退屈極まりない映画と評する人もいる。だがどのシーンも美しい絵画の連続のようで、繰り返し鑑賞に耐える作品に仕上げたのはさすがのキューブリックと言いたい。


<ネタバレ>
旅に出たバリーは追いはぎに会い、有り金奪われたあとイギリス軍に入隊する。しかしやがて嫌気がさし脱走するもプロシア軍の将校に見破られ、無理やりプロシア軍に入隊させられるところから成りあがってゆく展開になる。この映画ではなかなか他ではお目にかかれない7年戦争が描かれ、イギリス軍対オーストリア軍、プロシア軍対オーストリア軍の戦闘シーンが登場する。映像時間は短いが近世の戦いに興味がある人にはわくわくするシーンで必見である。ただ歴史書を見るとイギリスはプロシアと同盟を組んだものの、資金面の援助だけだったという記述もある。実戦の方はフランス軍相手で手いっぱいだったかな。(2020/3)
 クロムウェル  CROMWELL  1970英  145分  ★★  

監督:ケン・ヒューズ、出演:リチャード・ハリス(クロムウェル)、アレック・ギネス(国王チャールズ1世)、ロバート・モーレイ

1960年代イギリスの清教徒革命を描いた歴史大作。国王の専制政治と対立した議会が、クロムウェルの指導のもと内戦でついに国王軍に勝利し、共和制を樹立する。

すでにこの時代の戦争には銃も大砲も登場しているが、まだ長槍や剣と盾、騎兵の突撃が勝負を大きく左右している。特に長くて重いマスケット銃は支え棒を使って射撃するというスタイル。しかし戦闘シーンそのものは、せっかく大量の人員を投入しているのに、正味10分程度のものが2回、それも中盤にまとめて出てくるので、その長い前後部分はやや退屈。歴史を忠実に再現したという触れ込みだが、7年にも及ぶ革命を2時間ちょっとにまとめたので理解は難しい。事前に歴史背景の勉強をしておく必要あり。革命に成功したがクロムウェルも結局は専制化し、死後は王政に戻ったりしたことが最後にナレーションで語られる。またクロムウェル役のリチャード・ハリスは、悩み、怒り、叫び、落胆し、また悩みながら演説口調でセリフを吐き続けるので、特に後半は舞台劇を見てるような感じで疲れる。いろいろと惜しい作品。(2012/2)

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