日本映画(古典的作品)

 黒い雨 1989年 123分 ★★

監督:今村昌平、原作:井伏鱒二、出演:田中好子、北村和夫、市原悦子、三木のり平

ラストに悲劇が待っているのは見たことない人にもわかる映画で、物語は原爆投下の8月6日からいきなりスタート、悲しみのどん底へ向かって一直線という映画である。投下直後の広島を描いた映画は少なく、迫力はイマイチとはいえやはり日本人には辛い。
空襲警報がやんだあとに投下されたということがさらっと出るが、B−29は一旦通り過ぎて引き返して来て、人々が防空壕から出てきたところを狙ったのである。また、わりと新しい映画なのにモノクロなので、もっとずっと古い映画に見えてくるが平成元年である。

それにしても公開当時のことはまったく私は記憶にないが、
元キャンディーズのスーちゃんがここまで(入浴シーンやラブシーン)やってるとは知らなかった。スーちゃんファンにはさらに辛かったろうと想像する。(2008/11)
 ビルマの竪琴  1985年  133分  

監督:市川崑、出演:石坂浩二、中井貴一、川谷拓三

1956年に一度映画化された竹山道雄の同名小説を同じ市川崑監督で再映画化。日本兵の霊を慰めるため、僧侶となってひとりビルマの地に残る兵士の姿を描く。
1945年夏。ビルマ戦線の日本軍はタイ国へと苦難の撤退を続けたていた。そんな逃避行の最中、井上小隊長率いる部隊は、みな音楽好きで水島上等兵の弾く竪琴の音に合わせ力強く合唱していた。やがて終戦を知った彼らは投降し、ムドンに護送されることになったが、水島だけは未だ抵抗を続ける日本軍に降伏を勧めるため隊を離れるのだが……。
終戦まぎわのビルマ(現ミャンマー)で物語りはスタートするのでほとんど戦闘シーンもないまま終戦、降伏となる。主人公水島が別の部隊に降伏勧告説得に向かう場面で一戦あるが、そこまで。
粗末な材料で作ったはずの竪琴の音色がきれいすぎるのは目をつぶるとして、兵隊達の会話がどうしても学芸会風で困ってしまう。みんな声もよく通るうえはきはきと歯切れよく、とても敗走に敗走を重ねたあげく捕虜になった日本兵という感じがしない。イギリス兵や現地ビルマ人の演技が自然でいいけど、ビルマのおばあちゃん役もいいのか悪いのか、ビルマ人の俳優使って欲しかったなぁ。あと
イギリス兵も歌うシーンがあるんだが、インド植民地軍兵と肩組んで歌ったりしたか?…わかりません。(2008)
 日本海大海戦・海ゆかば 1983年 131分 

監督:舛田利雄、出演:沖田浩之、三原じゅん子、宅麻伸

主人公(沖田浩之)は海軍軍楽隊のトランペット吹き…なので演奏シーンが多い。そして娼婦の恋人(三原じゅん子)との絡みも多いのでこの二つを乗り切れるかが問題。でもこのころの三原じゅん子って結構いいね。
艦隊旗艦・三笠が出航してからはお決まりの訓練シーン、水兵同士のいさかいなどあるが、海戦が近づくまでの緊迫感が今ひとつ。
クライマックスの日本海海戦だが、両軍の艦隊戦力や戦況の推移も説明が少なくわかりづらい。
戦闘シーンの迫力は結構あるが、味方の死傷者もどんどん出るし、結果を知らない人が見たら負けてると思うかも。
最後は戦意を鼓舞するため主人公がトランペットを吹くのだが、それがまったりしたムード歌謡みたいな曲なのである。
昔見た古いほうの
「日本海大海戦(1969)」の方がよかったような気がする…もう一度見直してみよう。(2008/3)

 二百三高地  1980年 181分  

監督:舛田利雄、スタッフ:仲代達矢、あおい輝彦、新沼謙治、丹波哲郎

超大作…と言っていいだろう。ロシアの要塞も日本軍の砲台も、重量感には欠けるもののずいぶんがんばって作っている。戦闘シーンは火薬の問題でどうしても欧米映画の迫力はないが、それもガマン。日露両軍の兵士も大量出演。また明治天皇をはじめ、歴史上の重要人物多数登場。しかし、あれもこれも詰め込みすぎた日本映画の典型とも言える。

特に後半、繰り返し総攻撃が失敗する最中に日本国内に残された女子供の描写はあいかわらず。途中でさだまさしの歌がたっぷり入るのもまいる。(劇場では休憩を入れたのかな?)
だが仲代演ずる乃木と丹波演ずる児玉の両大将のやり取り、そして乃木が
「少佐まではよかったが、軍を率いる司令官としては凡庸」と自らを評し、終始困惑の表情で指揮を執る描写が見もの。この二人にテーマを絞っていたら、渋いいい作品になっていたと思うが。

 あゝひめゆりの塔  1968年日活 127分  

監督: 舛田利雄、出演: 吉永小百合, 浜田光夫, 和泉雅子, 二谷英明, 乙羽信子

始めの方は男女学生の平凡な日々が描かれるが、意外と早く米軍接近の報で緊迫感につつまれ、あっという間に地獄へ突入してゆく。戦い自体は悲惨以外の何物でもない。敗走敗走の連続。アメリカ兵そのものは映らず、空爆、砲撃、銃撃のみに負われてゆく日本人は惨めである。

女学生達が生の実感を確かめるように合唱するシーンが繰り返しあるのでやや疲れるが、ラストシーンはなかなか強烈で、見終わったあとは重苦しい気分になる。軍にも民間にも「降伏」の二文字はないという狂気。なぜこの時代の日本人は当たり前にこのような行動をとったのか。事実は知っていてもあらためてその異常さに、やりきれない気持ちになる映画だ。ラストシーンは吉永小百合ファンにはきつかったんじゃないかな。
なお襲来する爆撃機役の実機は
一式貨物輸送機(キ56)のようだ。ラストに出てくる戦車は(判別できないように)下部だけ映るが、61式中戦車と思われる。(2008/8)
  日本のいちばん長い日  1967年 157分  ★★

監督:岡本喜八、出演:宮口精二、戸浦六宏、笠智衆、山村聡、三船敏郎、

敗戦の年の8月15日に至る経過を、特に14日から15日正午までの一日半をこれでもかと言うほど緊張感張り詰めたまんまで描く。
終戦の玉音放送を阻止しようと企む一団、特に黒澤利雄演じる将校がずーっとハイテンションでセリフを叫び続けてややうんざりするのだが、それが最後まですーっと続きいつのまにかその気迫に飲み込まれている。
14日の深夜にこんなことがあったんだ、そして日本の歴史にこんな一日があったということを、くそ真面目なほど真剣に伝えようとしている。
そしてこの映画の日本映画らしからぬすごさは、ほとんど女が出てこないことだ。どこまで男、男、男、男である。
ただ放送局のアナウンサー役の加山雄三がどうも…「若大将シリーズ」のイメージ強すぎて。(2007/12)


 ビルマの竪琴  1956日活  116分 モノクロ  

監督:市川崑、出演:三国連太郎、安井昌二、浜村純

私自身は子供の頃小説で読んで(教科書?)けっこう感動した覚えがある。
映画のほうはどうも日本映画にありがちな、交代でセリフを棒読みする学芸会的雰囲気があいかわらずで、感動は薄い。市川崑監督はカラー時代になって「どうしてもカラーでもう一度撮り直したい」ということで1985年に再映画化しているが、今となってはむしろモノクロ作品の方が味わいがあって、どちらかひとつというならこちらを薦めたい。(2008/11)